視覚の奥行きへ向かうためのエスキス 2013.3.3
  
  ◎esquisse0   
 絵画の準備を!
 <幅>から<奥行き>へ
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  現代は、視覚中心の時代のようにいわれているけれど、
  実際のところ私たちが見ているのは現実の影のようなものでしかないように思える。
  ヌーソロジーでいえば「幅」の世界。
  その影だけを見て、私たちは現実を見ていると思い込んでいる。
  現代の科学(主義)も同じ。私たちの現在の影の世界を超克していくためには、
  同じくヌーソロジーでいう「奥行き」の世界に気づくことが重要である。
  そうでないと、影のような時空のなかで彷徨うことしかできない。
それではあまりに悲しいではないか。
視覚には視覚の冒険で、というのがこの「視覚の奥行きへ向かうためのエスキス」の主要テーマである。
  絵画についてのスリリングな議論がなされている以下の本を思い出して、
  ここにはいろんなネタがつまっている!ということを思い出したので、それを使いながら、
  私たちが囚われ、拘束されている<幅>の空間感覚を解放するためのさまざまな視点を見つけていければと思っている。
  ちなみに、「エスキス」というのは「スケッチ」といった意味。
なんか、断片的だけど、エキスがつまっているという感じもするので、この言葉を使ってみた。
◎松浦 寿夫・岡崎 乾二郎『絵画の準備を!』
  (朝日出版社/2005.12.31)
  *お二人の対談で構成されています。
  *調べてみると、この本、すでに絶版らしい。
  いい本は(だれも買わないらしく)すぐに絶版になってしまう傾向にある。残念。
  興味のある方は古書でどうぞ。そんなに高くはなさそうだけど、そんなに多量にあるわけでもなさそうです。
  *ちなみに、この本のコンテンツ(各章のタイトル)は以下の通り。
  1.純粋視覚の不可能性/2.代行性の零度/3.無関係性/4.「国民絵画」としての日本画/
  5.平面性の謎/6.誰がセザンヌを必要としているか(I)/7.誰がセザンヌを必要としているか
  (II)/8.モダニズムの歴史という語義矛盾/9.メディウムと抵抗