河合隼雄関連で、ユングやらを読み直し、 
          中沢新一との対談のなかでも言及されている 
          神話学のジョーゼフ・キャンベルを今読み漁っていたりする。 
          『キャンベル選集』もでているが、 
          そこにも、河合隼雄+中沢新一の対談が付いている。 
          そのなかにもあるのだけれど、 
          キャンベルは日本が大のお気に入りのようで 
          日本を褒めすぎるほどに過剰な思い入れがあったりもするようだが 
          それはそれでまた面白い。 
        松岡正剛がなにか言及していないか調べたところ 
          千夜千冊704夜でとりあげていて 
          キャンベルのいう「神話の力」について以下のように述べている。 
          キャンベルはまた、神の造形はあらゆる民族に共通する「欲求」に 
           もとづいているという原理を提示し、どんな神の造形も解読可能であ 
           ることを示した。さらには「神話の力」を現代に通じる言葉であらわ 
           した。すなわち、神話には集約すれば4つの力があって、そ れは、 
           1)存在の神秘を畏怖に高める力(これはルドルフ・オッ トーが「ヌミ 
           ノーゼ」とよんだものに等しい)、2)宇宙像によって知の しくみをま 
           とめる力、3)社会の秩序を支持し、共同体の個人を連動させる力、 
           4)人間の精神的豊かさに背景を与える力、というものである。 
           (松岡正剛 千夜千冊・第七百四夜 2003/01/31) 
        こうした神話を現代人は失ってしまったが、 
          あらたに自分のなかに神話をつくりだしていく必要がある。 
          そうした神話をつくりだせないがゆえに 
          現代人はとても不安定な状態のまま彷徨っているようにも見える。 
          そして不安を解消するようにさまざまな宗教へと自らを帰属させたり 
          原理的なものへの回帰をはかってみたり、 
          解消できずにそのまま自滅してしまったりもする。 
          しかし、過去にただ帰ることはできない。 
          かといって、近代西洋のような自我のありようだけではもたない。 
          新たな神話をつくりだし生きる方向が必要なのだろうと思う。 
          そしてそれがあらたな科学とも連携していかなければならない。 
        さて、今調べた範囲ではあるが、 
          ジョーゼフ・キャンベルの邦訳を挙げておきたい。 
          残念ながら、現在購入できるのは最初の2冊で 
          あとは図書館や古書店等で探すしかない状況のようなので、 
          とりあえずは『神話の力』がおすすめである。 
        ◎『神話の力』(早川書房-1992) 
          ◎『ジョーゼフ・キャンベル対話集/ 
            ジョーゼフ・キャンベルが言うには、愛ある結婚は冒険である。』 
           (築地 書館-1997) 
          ◎『神の仮面』(上・下)(青土社-1992) 
          ◎『千の顔を持つ英雄』(上・下)(人文書院-1984) 
          ◎『神話のイメージ』(-大修館書店-1991) 
          ◎『宇宙意識-神話的アプローチ』(人文書院-1991) 
          ◎ 『時を超える神話』(角川書店-1996) 
          ◎ 『生きるよすがとしての神話』(角川書店-1996) 
      ◎『野に雁の飛ぶとき』(角川書店-1996)  |