風のメモワール39

白川静の最も好きな字は「遊」


2008.2.1

NHK「知るを楽しむ」の2月〜3月の火曜日のテキストは
松岡正剛による「白川静」と柳美里による「色川武大」。
後者はまた別にお話するとして、
松岡正剛による「白川静」というのは、
なにをさておいても読まないといけないとすぐに読む。

読みながら、心が熱でいっぱいになる。
あふれでてくる。
松岡正剛という人、そして白川静という人と
(お会いしたことはどちらもないけれど)
同時代人であった/あるということは大きな恵みだと思う。

松岡正剛によるお話の後、
白川静の長女「津崎史」さんの
「やさしかった父のこと」というエッセイを読みながら、
おもわず感涙してしまった。

津崎史さんは、仕事をやめて、『字通』の編集など
白川静の晩年の仕事を助けた。

白川静は史さんに幼い頃からこう言ったという。
「本を読め。しっかりした本を読めーー
古典といわれるものは勿論、現代作家はよい文章を読め」

奥さんを亡くされたときの話もある。
「母の葬儀のとき、少し時間をほしいと言い、
母との長い生活を淡々と思いをこめて振り返った挨拶をしたとき、
本当に母のことを尊敬し、感謝していたのだと思った」

そして、最後にこう記されている。
「父の最も好きな字は「遊」であった」
神様と自由に遊ぶこと。
「神秘学遊戯団」の「遊」も同じである。