風のメモワール33

テルミンをつくる


2007.12.28

「大人の科学」Vol.17の組み立てふろくに
「テルミン」がついているのを知り、早速購入、組み立てる。
簡単に組み立てられるとはいえ、
テルミンを手軽に自分の手元において
音をだすことができるというのは、ちょっと感動もの。

テルミンの原理は、2つの高周波発生回路で発生させた
2つの高周波のずれによってでてくるビートを音として取り出すというもの。
説明されてみれば、簡単な原理ではあるけれど、
それがこうした不思議な音色をもった楽器になるというのはほんとうに面白い。
(とはいえ、演奏するのはなかなか難しい)

その詳しい原理については、ホームページでも読むことができる。
「菊地教授のテルミン原理詳解」
http://otonanokagaku.net/feature/vol12/index.html
また、この組み立て付録で演奏された音も聴くことができる。
http://otonanokagaku.net/feature/vol10/index.html

小学生の頃には「科学」という付録付きの雑誌を毎月楽しみにしていて、
そこについている付録にあきたらず、自分でモーターなどを購入して、
自分なりのメカを設計していたりしたこともあった。
それは今思えばたわいもない遊びでしかなかったのは確かだとしても、
基本的な原理を基本にしながら、さまざまに試行錯誤しながら
具体的に動くものを作り出すことを通じて、
筋道だてて「考えること」とそれを具体化していくことのできる能力を
自分なりに育てることができたように思う。

先日、矢野健太郎『エレガントな解答』(ちくま学芸文庫)がでていて
なつかしくなってつい買い求めてしまった。
高校生の頃の数学といえば、思い出すのがこの矢野健太郎なのである。

今や数学が得意などとはお世辞にもいえないようになってしまっているが、
その頃のぼくには、数学というのはひとつの美学でもあった。
わけのわからないような学校の規則や世の中のさまざまにくらべ、
数学というのはなんとシンプルで素晴らしいのだろうと本気で思っていた。
もちろん、その後、興味は別の方向に向かい、
それよりももっと自分にとって切実なものを見つけはじめるようになったが、
どんなに問題が複雑で困難なものになっていったとしても、
数学や科学からは大きな影響を受けている。

ときに、こうした組み立てふろくや
なつかしい数学の本などを手にとってみることで
自分のなかに蒔かれたひとつのシンプルな種のことを
ちょっとノスタルジックに思い返してみるのもときにはいいものだ。