風のメモワール23

脳と腸


2007.10.10

シュタイナー『精神科学と医学』は、何度読んでも発見があって、
そのなかで気になっているテーマのひとつに脳と腸の関係がある。

第4講には、人間は上部と下部という人間性として自らを開示し
下部において形成されているものは、
常に上部で形成されているものの平行器官であり、
人間の霊的−魂的活動は、脳形成と同時に腸形成とも結びついている、
ということが述べられている。

その脳と腸の関係についての研究について
福土審『内臓感覚/脳と腸の不思議な関係』という本が出たので
目を通してみている。

   脳からの信号は脳研究の主要領域である。これに対して、末梢
  からの信号はどちらかというと副次的領域であった。人間の末梢
  での感覚などはわけのわからないものだ、被験者が随意に申告で
  きるものなど科学的ではない、そう思われてきたふしがある。と
  ころが最近は、感覚こそ、脳機能の土台ではないか、と風向きが
  変化してきた。その中でも内臓感覚は依然として大きな謎に包ま
  れている。脳腸相関の研究を契機として、その謎が次第に解き明
  かされようとしているのだ。
  (福土審『内臓感覚/脳と腸の不思議な関係』
   NHKブックス 2007.9.30.発行 P.223-224)

動物の進化は腸からはじまり、
腸のまわりを神経細胞が取り巻いて制御機構ができ、
脊髄ができ、その先端がふくらんで脳ができたのだという。
脳が最初にできて、内臓ができたわけではないのである。
あたりまえといえばあたりまえなのだけれど。

実際、脳のかたちと腸のかたちはよく似ている。
人間は上部にも腸をもっていて
下部にも脳をもっているともいえるわけである。

そういう感じで人体をとらえていくと
それまでとはちがったイメージで見えてくる。

しかし、あらためて久しぶりに
『精神科学と医学』の第4講義を拾い読みしたみただけで、
いろんな発見があった。
『精神科学と医学』の奥はかぎりなく深い。