佐藤哲也『ぬかるんでから』(文春文庫)が面白い。 
          ほかではちょっと読めそうもない不思議な物語が13篇。 
          妙に気に入ってしまった。 
        13の短編集で思い出したのが、 
          (ちょうど、この「メモワール」も13である) 
          ハンス・ヘニー・ヤーンの『十三の不気味な物語』。 
          そんなに好きではなかったものの妙に記憶に残っている。 
          『ぬかるんでから』は、決して「不気味」というのではなく、 
          その語りは、ある種の不思議なユーモアさえ湛えているのだが、 
          その不条理な世界はちょっとほかでは読めない独特なもの。 
        佐藤哲也という名前はすっかり忘れていたのだが、 
          1993年に『イラハイ』で、 
          第5回ファンタジーノベル大賞を受賞していたのを読んでいた。 
          たしかに、『イラハイ』の著者だ。 
          今回の『ぬかるんでから』が気に入ったので 
          他の著書もいろいろ物色している。 
          どれも独特な語りのかたちをもっているのが面白い。 
        『ぬかるんでから』を読んだときにも思ったのだが、 
          佐藤哲也には『妻の帝国』(早川Jコレクション)という著書のタイトルにも あるように 
          どうも「妻」が不思議なポジションを占めているのではないかという印象をもった。 
        早速、ネットでなにかないか調べてみると 
          佐藤哲也のサイトが見つかった。 
          「大蟻食の亭主の繰り言」である。 
          http://home.att.ne.jp/iota/aloysius/someone/index.html 
        えっ!「大蟻食」といえば、佐藤亜紀ではないか。 
          佐藤亜紀の公式サイトが 
          「新大蟻食の生活と意見」なのだ。 
          http://home.att.ne.jp/iota/aloysius/tamanoir/ 
        そういえば、佐藤亜紀もファンタジーノベル大賞を受賞している。 
          『バルタザールの遍歴』だ。 
          最新作には、『ミノタウロス』というちょっとすごい物語があったりする。 
          その作品を全部読んでいるほどではないが、 
          『バルタザールの遍歴』以来、ずいぶん読む機会をもっている。 
          不思議に気になる作家のひとりで、 
          新作は必ずチェックするようにしている。 
        それで、「大蟻食の亭主」ということは・・・ 
          なあんだ、佐藤亜紀と佐藤哲也は、同じ「佐藤」で、ご夫婦というわけなのでした。 
        最近、佐藤亜紀のサイトは更新されていないが、 
          佐藤哲也の「大蟻食の亭主の繰り言」には 
          「亭主の日々」というコンテンツがあって、 
          それを読むと、毎日のように、妻=佐藤亜紀と六本木に出かけたとか、 
          いっしょに映画を観た、ビデオを見た・・・という話が続いている。 
          しかし、よく映画(ビデオ)を見ているようである。 
        ・・・ということで、 
      ただたんに、佐藤夫妻を発見してびっくり!ということでした。  |