『海馬』ノート

池谷裕二・糸井重里『海馬/脳は疲れない』


2002.6.25

 

■池谷裕二・糸井重里『海馬/脳は疲れない』
 (朝日出版社/2002.6.20.発行)
 
「ほぼ日刊イトイ新聞」で、すでにその一部が紹介されているので、
それを読まれている方もいるかもしれないけれど、
脳の「海馬」を研究している池谷裕二と糸井重里による刺激的な対話。
一般書店での発売は来月らしいのだけれど、
面白そうだったので、先行発売していた「ほぼ日刊イトイ新聞」で注文。
読み始めてみると、予想に違わず、というより、
予想よりずっと面白いスリリングな対話だった。
 
「海馬」といっても、
ふつう、それが脳のどこに位置しているのか、
またどんな働きをしているのかぴんとこないと思う。
ぼくもこの対話を読み始めるまでそうだった。
実際、「海馬」といわれても、
それが脳のことだというこというさえ
わからないかもしれない。
 
脳の「海馬」というところは、記憶を扱っている部分で、
たとえば、海馬がなくなってしまったら、
それ以前の記憶はあるものの、
新しい記憶は5分経つと消えてしまうらしい。
その「海馬」を中心とした「脳」についての対話。
 
池谷さんは「あとがき」の最後に、
 
        この本は、私を含め、この地球上に生きるすべての人への応援歌である。
 
と書き、
糸井重里さんは、「あとがき」で、
 
        池谷さんと脳の話をして、ぼくは「勇気」をもらったように思います。
 
と書いているように、
確かに、この脳についての話は、希望の話でもある。
 
なぜ希望の話なのか。
それについては、例のごとく、ノートに記してみたい。
ノートを書くのは実際わりと面倒で疲れるところがあるのだけれど、
この本を読んだ後では、それくらい頑張らないと
「脳」を育てていくことにはならないことがわかったので、
怠けずに書いてみることにしようと思っている。
 
ちなみに、池谷裕二さんには、ブルーバックスに
■池谷裕二『記憶力を強くする』(講談社/2001.1.20発行)
という著書がある。
今回の『海馬』が面白かったので、こちらも今読んでいるところ。
 
ちなみに、池谷裕二さんは、かなりの秀才のようなのだけれど、
九九はいまだにできないし、小学校のときなどは、
漢字のテストなど、100問中2問しかできなかったらしい。
数学なども公式などは覚えられず、
その都度、公式を導き出しているらしい。
それでもわかるのだけれど、「記憶」といっても、
ただ丸暗記するような記憶のことではなく、
いわばプロセスそのものでもある記憶のことのほうがテーマになっている。
 
そういう意味でも、昔からきわめて丸暗記的な記憶力に乏しいぼくには、
深い共感をもって読み進めることのできた対話だった。
 


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