■ザ・フォーク・クルセダーズ:戦争と平和 加藤和彦 きたやまおさむ 坂崎幸之助 MUCD1060 02.10.30 34年ぶりで新結成されたザ・フォーク・クルセダーズの 待望のニューアルバムがリリース! ぼくがラジオを聴き始めた、 つまりテレビ以外で音楽を聴き始めたのは、 1970年(中学1年)のことだから、 すでにザ・フォーク・クルセダーズの後になるのだけれど、 聴き始めてからの数年間、 ぼくのなかではほとんど24時間、音楽が鳴っていた。 まず最初はフォークソング、そしてポップス、ロック。 ぼくにとっては、すでに全共闘的な狂騒は シラケの対象でしかなかったけれど、 音楽が運んでいるらしい自由の響きに心は躍っていた。 このアルバムにもおさめられている「花はどこへいったの」を はじめてきいたのは高校生の従兄弟のもっていた ブラザースフォーのアルバムで(有名なのはピーター・ポール&マリー) 英語もろくにわからないままに一生懸命に覚えたりしたことを覚えている。 もちろんギターのアルペジオも。 そういう思い出話はともかくとして、 加藤和彦という存在をこのアルバムで再認識できたのも 大きな収穫かもしれない。 ぼくにとっては、加藤和彦というのは、 まず、「あの素晴らしい愛をもう一度」があって、 それから「サディスティック・ミカ・バンド」があって、 そうして今でもときおり聴いてたりもする アルバム「パパ・ヘミングウェイ」や「うたかたのオペラ」、 そして「ベル・エクセントリック」あたりが印象に残っているが、 やはりその原点というのがここでかいま見えた気がする。 北山修という存在もぼくにとっては、むしろ精神科医でもあって著作もある というほうのイメージが強かったりもしたのだけれど、 あらためてその存在を再認知することにもなった。 アルフィーの坂崎幸之助については、 ほんとうに思いがけない参加というイメージなのだが、 不思議ななじみ方をしている、というか やはりあのギターをきいているとそのスピリッツが熱いのが伝わってくる。 ともあれ、とにかく、きいて楽しめるのがいい。 おそらくぼくにとっても何年かに一度は 思い出してきいてみたくなるアルバムになると思う。 ところで、このアルバムには、なぜかダライ=ラマからの 平和を祈願するメッセージも寄せられていたりする。 なぜなのかはわからないが、オマケが多いのは、 このアルバムの最大の特徴なのだろうから、 そのひとつなのだろうと解釈しておくことにしたい。 ところで、このアルバムをききながらずっと考えていたことは、 最初にザ・フォーク・クルセダーズが登場してきた時代のことで、 たぶんこの時代あたりから過去から身を引き剥がそうというような衝動が この日本にかなり大規模に起こってきたのだろうということである。 もちろんその多くは愚かな集団行動でしかなかったのだけれど、 そうした愚かささえも必要だったのかもしれないと思う。 昨年あたりから今年にかけて、こうした数十年前のものが どんどん再認識されてきているようだけれど、 そうした動きのあとででてくる何か(それが何かはまだ見えないけれど)が あるのかもしれない、というような予感があったりもする。 もちろん、それは過去への郷愁というのであってはならず、 また遅れてやってきたような社会運動的な全共闘であっては逆行でしかないだろうが、 そうしたここ数十年がある意味で肥やしのようになって、 そこからでてくるものを見たいと思っていたりもする。 このアルバムをぼくはそういうひとつの祝祭の音楽としてききたいと思う。 ちなみに、期間限定のザ・フォーク・クルセダーズのHPアドレスは以下のとおり。 http://www.folkcrusaders.com/ けっこうオマケの多いHPです。 |
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