坂田明「 Fisherman's.com 」


2002.1.24

 
 
■坂田明「Fisherman's.com 」
 2001.11.30 Release
 Produced by Bill Laswell & Akira Sakata 
 (JZZ0112-09)
 
先日、山下洋輔の音楽秘講座をご紹介したところなのだけれど、
今回は「山下洋輔トリオ」にも参加していた坂田明の
驚くべき・・・というか、びっくりものの新譜。
 
最初に、収録されている曲をみて、
 
1. 貝殻節(鳥取県民謡)
2. 音戸の舟唄(広島県民謡)
3. 斉太郎節(宮城県民謡)
4. 別れの一本杉(作詞/高野公男 作曲/船村徹)
 
うむむむ、いったいこりゃ何事だと思い、
ヴォーカル・坂田明とあるのを見て、絶句。
さらに、プロデュースは坂田明とビル・ラズウェル、
そして、参加アーティストが、坂田明(Vocal & Alt Sax Synth.)をはじめ、
ビルラズウェル(Electirc Bass & Synth. Bass)、
ハミッド・ドレイク(Drums & Conga)、
マイルス・デイヴィス「アガルタ」のピート・コージー(Electric Guitar)。
とあるのを見て、これは聴かざるをえないと確信。
 
さらに、ライナーノーツをなかにし礼が書いていて、
次のように絶賛していたりする。
「坂田明はこのCDの試みによって、アジアとヨーロッパの合体に成功した。
この声を聴いてふるえるものは、日本人としての魂などという生易しいものではない。
人間の根元的な命の叫びに、私たちの命が呼応するのである」。
 
たぶん、大げさなコピーだとは思ったものの、
別なところで、次のようなコンセプトの文章もあったので、
がっかりすることだけはなかろうと。
 
          日本人のなかで分断されてきた伝統的な民謡や演歌等と現代の西洋音楽を合体
        させ、日本人の中に巣くう西欧の文化文明に対するコンプレックスを和らげ、世
        界に誇れる「現代日本」の音楽文化を圧倒的に押し出す。
          これが本作品のコンセプトだ。
          「フィッシャーマンズ・ドット・コム」は坂田明が21世紀の日本、そして世界
        へ向けて発信するメッセージなのである。
          ここに刻み込まれた音は聴く者を挑発し、扇動し、混沌を生み、昇華させる...
        悠々たる宇宙へと。 
 
それにしても、パワフルなヴォーカル、
そしてパワフルで豊かな音の響き。
強烈なサックスやギターやドラムスが地平を現出させながら、
最初は冗談のように思っていた坂田明の叫びのようなヴォーカルが、
その地平を渡りながら駆け抜けていく・・・。
こういう音楽をどう位置づけていいかわからないし、
「アジアとヨーロッパの合体」とか「「現代日本」の音楽文化」というのも
わかったようなわからないような感じだけれど、
少なくとも、ここには何か得体の知れない何かがあり、
しかもそのなかから強烈な宇宙が立ち上がってきているということはいえる。
 
ところで、そういえば、と気づいたのは、
坂田明は広島県呉市出身。
(だからCDショップでも強烈な推薦文があったのか、と合点)
以前読んだそのパワフルなエッセイの記憶でも、
広島大学水畜産学部水産学科卒業とあったような気がする。
そうだ、だからFishermanなのか、と勝手に納得。
なにも海人族とはかぎらないが、
個人的にいって、どうも海関係は好意的になる。
 
坂田明の最近の活動についてはあまりしらなかったのだけれど、
調べてみたら、ミジンコにやたら凝っているらしい。
これもFishermanゆえの好奇心か(^^;。
 
HPでそのプロフィールを調べてみて、
http://www.f-w.co.jp/starlets/prof_sakata.html
やっぱり超ユニークな人物であることを再発見。
         
以下、そのプロフィール。
しかし、やっぱり気になるのはミジンコ。
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■1945年生まれ
  広島県呉市出身、広島大学水畜産学部水産学科卒業。
■1969年
 上京後グループ「細胞分裂」を結成。
■1972年 
 「山下洋輔トリオ」に参加、メールス・ニュージャズフェスティバ ル、ベルリン・ジャズフェス、
 モントルー・ジャズフェス、ニューポート・ジャズフェス等様々なフェスティバルに出演。
■1980年より
 「SAKATATRIO」結成、81年、同トリオでヨーロッパツアー、「SAKATA ORCHESTRA」で
 ベルリン ・ジャズフェスティバルに出演。
 以後「SEXTET」「wha-ha-ha」「DA-DA-DA ORCHESTRA」「MITOCHODRIA」など様々な
 グループの 結成、解体を繰り返しながらミュージックシーンの最前線を走り続ける。
■1989年
 ビル・ラズウェル、ロナルド”シャノン”ジャクソンと「MOOKO」を制作、ヴァージン レコー
 ドから発売。
■1994年
 ビル・ラズウェルら14名で結成した多国籍グループ「微塵子空挺楽団」を率いて中国、ウズベ
 キスタン、モンゴルを横断する中央アジア・ツアーをおこなう。
 同年より北海道、帯広市にて「ポロシリ音楽祭」を5回プロデュースし、伊藤多喜雄、りんけん
 バンド、古謝美佐子、嘉納昌吉&チャンプルーズ、パーシャクラブ、小室等、等を招聘。 
■1999年
 ”オーガスト イン ヒロシマ”で「音楽の地球儀」をプロデュースし、再編した「微塵子空挺
 楽団」で出演。  韓国から池成子(チソンジャ 伽椰 琴(グン))、李成根(イソングン(チ
 ャンゴ))?内モンゴルから斎宝刀高(チボラグ(馬頭琴)、沖縄から「パーシャクラブ」を招聘。
■現在は、
 グループ「ハルパクチコイダ」「坂田明3.mii」「ケストラダマシ」を中心に活動中。
 また、和太鼓の林哲夫、狂言の茂山千之丞、人形師の辻村寿三郎らと共演、黒田征太郎、ロコ、
 サトシ名嘉睦稔らとライブペインティングを行うなど、活動範囲は拡がるばかりである。
■1997年
 インディーズの「ダフニア」レーベルを起こす。
 CD「どうでしょう?!/坂田明TRIO」(DPCD0001)、 
 「海/ハルパクチコイダ」(DPCD0002)を同レーベルより発売。
 今後は本作のリリースの他、2000年11月に制作した 関本徹生制作のアートマネキン「百八
 煩悩」の音楽108曲をCDブックとして発売する予定。
 同時にグループ"Gazelle"と制作した「Sceniczone」を9月「Nowgomix Records」に発売する
 ことも決まっている。
 著書に「ミジンコ道楽」(講談社)、「ミジンコの都合」(日高敏隆共著、晶文社)、
 「クラゲの正体」(晶文社)、「瀬戸内の困ったガキ」(晶文社)、など。
 VIDEO作品に「ミジンコの宇宙」(テレコム スタッフ)
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