風の音楽室
BCJ/J.S.Bach :
Cantatas, volume 15
2001.12.9
■J.S.バッハ/教会カンタータ
鈴木雅明/BCJ 全曲シリーズVol.15
〜ライプチッヒ1723-8〜
BIS-CD-1111
「神の御子現れたまいしは」BWV40
「おお永遠、おんみ雷の言葉」BWV60
「目を覚まして祈れ、祈りて目を覚ましておれ」BWV70
「おんみらを、おぞましい最期がひきさらう」BWV90
(S)野々下由香里
(CT)ロビン・ブレイズ
(T)ゲルト・テュルク
(B)ペーター・コーイ
*録音:2000/9 神戸松蔭女子学院大学 チャペル
最近は、ここであまりご紹介してはいないのだけれど、
BCJのJ.S.バッハ/教会カンタータ 全曲シリーズもこれで15枚目。
最初に出た1996年から約5年だから、一年で3枚のペース。
その度ごとに感動を新たにしている。
これであと10年以上はかかるらしい。
まだまだお楽しみはこれから、という感じなのでうれしくなってしまう。
そういえば、先日、佐藤公俊さんご夫妻にオイリュトミー公演のときにお会いして
いろいろお話ししていたときに、BCJのHPのリンクに
このトポスのHPがなぜあるのかをきかれたのを思い出した。
佐藤さんご夫妻もBCJには関心を持たれているようで、
こういう見えないところからでも静かなネットワークができているのはうれしい。
このBCJのカンタータシリーズは
コープマンのシリーズのように、一気呵成にやってしまう、
というスタイルではなく、この坦々とした持続感がすばらしい。
クオリティも落ちないし、毎回いろんな発見がある。
ロビン・ブレイズ、ゲルト・テュルク、ペーター・コーイのソロも
すっかり定着して、変な声をきかせられる不安を感じないで、安心して聴ける。
ほんとうはコンサートにもでかけられるといいのだけれど、
神戸や東京にそのためにそう出かけるわけにもいかないから、
年に数回、こうして出されるカンタータを聴く。
以前住んでいたところでは、CDショップに輸入盤が乏しく
手に入りにくいことが多かったのだけれど、
今いる広島では、タワーレコードのコーナーにちゃんと並んでいる。
以前に比べ、知名度も上がったのもあるのかもしれない。
たまにでかけるショップに新譜がでているのを見つけるのは、
ふとしたきっかけで旧友と再会できるようでとてもうれしい。
バッハのカンタータを聴きはじめたのはそう昔のことではなく、
友人がソロで参加するそのコンサートを聴いてから興味を持ち、
その後、あらためてリヒターのマタイなどを聴いたり、
このBCJのカンタータシリーズを聴くようになってからなのだけれど、
おそらくこれから一生聴いていくことになるんだろうと思う。
そういえば、こうしてバッハのカンタータを聴くときなど、
語学力は乏しいものの、ドイツ語がわずかながら理解できるというのは、うれしい。
シュタイナーの遺している著作や講義録もドイツ語だけれど、
このふたつのためだけでも、ドイツ語をやっていてよかったと思う。
*以下、VIVA! Bach Collegium JapanのHP
http://www2s.biglobe.ne.jp/~bcj/
より、各曲に関するデータから、参考までにピックアップして転載。
《神の子の現われたまいしは》 BWV40
*トーマス・カントル就任後、最初のクリスマスのために書いた作品のひとつ。
*3つのコラールの引用が単純な4声体の形で処理され、
表面的な華麗さに走らない堅固な手応えのカンタータになっている。
初演 1723年12月26日、ライプチッヒ
用途 クリスマス第2日
礼拝での聖句 書簡 :テトス 3,4-7 または 行伝 6,8-15/7,54-59(55-60)
福音書:ルカ 2,15-20(羊飼いたちが飼葉桶の幼子イエスを捜しあてる)
または マタイ 23,34-39
歌詞 作者不詳
(引用:第1ヨハネ 3,8[第1曲]、K.フューガーのコラール[第3曲]、
P.ゲールハルトのコラール[第6曲]、Ch.カイマンのコラール[第8曲] )
編成 声楽:ソロ(ATB)、合唱
器楽:ホルン2、オーボエ2、ヴァイオリンI,II、ヴィオラ、通奏低音
演奏時間 約15分 (レオンハルト:15分、コープマン:14分)
《おお永遠、そは雷のことば》 BWV60
*ヴァイマール時代に好まれた対話形式をライプチッヒ第1年度に受け継ぐ作品。
*「恐怖と希望の対話」と題され、恐怖を表すアルトがテノールの希望と対話し、
やがてバスによるキリストの声に出会う。
*アルバン・ベルクが「ヴァイオリン協奏曲」に終結コラールの旋律を
引用したことでも知られる。
初演 1723年11月 7日、ライプチッヒ
用途 三位一体節後第24日曜日
礼拝での聖句 書簡 :コロサイ 1,9-14
福音書:マタイ 9,18-26 (病気および死に対するイエスの権能)
歌詞 作者不詳
(引用:J.リストのコラール[第1曲]、黙示録 14,13[第4曲]、
F.J.ブールマイスターのコラール[第5曲])
編成 声楽:ソロ(ATB)、合唱
器楽:ホルン、オーボエ・ダモーレ、ヴァイオリンI,II、ヴィオラ、通奏低音
演奏時間 約16分 (アーノンクール:16分、コープマン:15分)
《目を覚まして祈れ!祈りて目を覚ましおれ》 BWV70
*ヴァイマールにおける待降節第2日曜日のために書かれたBWV70a(全6曲:歌詞のみ現存)をもとにライプチッヒ初年度に演奏されたカンタータ。
ライプチッヒでクリスマス準備の時期、盛大な音楽の演奏が禁じられていたため、
内容的に関連のある三位一体節後第26日曜日の礼拝へと転用された。
*壮大な響きの合間に青年期の作品らしい抒情が彩りを添えている。
*レチタティーヴォに織り込まれた劇的な「最後の審判」の表象も印象的。
初演 1723年11月21日、ライプチッヒ *初稿 1716年12月6日、ヴァイマール
用途 三位一体節後第26日曜日 礼拝での聖句 書簡 :ペテロ II 3,3-13
福音書:マタイ 25,31-46 (世の裁き)
歌詞 フランク 1717 に基づく(改作者不詳)
(引用:作者不詳のコラール[第7曲]、Ch.カイマンのコラール[第11曲])
編成 声楽:ソロ(SATB)、合唱
器楽:トランペット、オーボエ、ファゴット、ヴァイオリンI,II、ヴィオラ、通奏低音
演奏時間 約25分 (アーノンクール:22分、コープマン:21分)
《怖ろしき終わり汝らを引きさらう》 BWV90
*ライプチッヒ初年度、1723年における三位一体節後日曜日用カンタータの最後の作品。
*規模の小さい曲ながら、主の来臨、最後の審判のもたらす災いと幸福を考察する音楽は
密度の高いもの。
*終結コラールは「ヨハネ受難曲」でも用いられた「天にましますわれらの父よ」の旋律。
初演 1723年11月14日、ライプチッヒ
用途 三位一体節後第25日曜日 礼拝での聖句 書簡 :テサロニケI 4,13-18
福音書:マタイ 24,15-28 (世の終わりに起こる誘惑)
歌詞 作者不詳 (引用:M.モラーのコラール[第5曲])
編成 声楽:ソロ(ATB)、合唱
器楽:トランペット、ヴァイオリンI,II、ヴィオラ、通奏低音
演奏時間 約12分 (レオンハルト:12分、コープマン:12分)
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