女性トルバドゥール《ディア侯爵婦人ベアトリッツ》

2013.6.15

『嫌なことでも歌わなければ(A chantar m'er de so qu'eu no volria )』

今日の音楽は、女性トルバドゥールの《ディア侯爵婦人ベアトリッツ(ベアトリス・ド・ディア)》(オック語:Beatritz de Dia, またはディア伯爵夫人、Comtessa de Diá/生年:12世紀頃)。

プロヴァンス出身。女性のトルバドゥール(トロバイリッツ)。ディア伯爵イゾアール2世の娘。ヴィエンヌ伯爵ギエム(もしくはギレム)・デ・ポワチエの妻。
オック語で書かれたベアトリッツの歌『嫌なことでも歌わなければ A chantar m'er de so qu'eu no volria 』は、唯一旋律付きで現存している女性トルバドゥールの唯一のカンソ(canso または canço/トルバドゥールが使った歌のスタイル)。

それでは、その『嫌なことでも歌わなければ(A chantar m'er de so qu'eu no volria )』。
演奏は、Hana Blažíková(soprano, gothic harp)&Barbora Sojková(プサルタリー/psaltery)。(「プサルタリー」は、古代の鳥の羽の軸や指で弦をつま弾く楽器。後に鍵盤と組み合わせられてハープシコードや現在のピアノへと発展することになる。)

*以下は、歌詞(訳詞:斉藤基史)の最初のところ。
 嫌なことも歌わなければ。
 恋人だけど、彼にはつれなくしてしましょう。
 誰よりも彼を愛するがゆえに。
 私の親切も、振る舞いも気に入らないのですか
 私の美しさも、魅力も、センスも。
 私は騙され、欺かれたのです。
 私に魅力がないのなら、諦めもつきましょうが
 愛しい方よ、慰めはただひとつ、
 不実を働かなかったことだけ。
 私は愛しています。
 スガンがヴァランスを愛したように、
 わが愛があなたより勝るのは喜びです、
 あなたはとても優秀な方だから。
 、言葉も態度も私にはつれない、
 他の方々には親切なのに。

http://www.youtube.com/watch?v=A1JAPAjd3V0