2013.1.3

岸洋子「希望」
野村萬斎「三番叟(さんばそう)」
「第三の男」テーマ曲
映画『希望の国』

今日、2013年1月3日の音楽は、「3」をテーマにしてみたい。
「3」には、2つに分裂したものが3つの姿に変容し、「発展」し上昇する意味がある。
この「3」の神話を象徴するのがプロメテウス。
人類に火をもたらし、そのためのゼウスの怒りを受けてしまう。
自己犠牲ゆえの苦しみである。
このプロメテウスにはエピメテウスという弟がいて、
プロメテウスの忠告にもかかわらずパンドラを花嫁にしてしまう。
あの「パンドラの箱」のパンドラである。
神々は、あらゆる災厄が封じ込められた箱をパンドラに持たせていたが、
パンドラは好奇心からその箱を開け、
そこから災厄、あらゆる悲しみや苦悩、悪などが飛び出してしまう。
しかし、その箱の底に「希望」だけは残っていた、という話がある。

今日本には、いや世界にはパンドラの箱から飛び出したさまざまなものが飛び交っているが、
それを克服するためには「希望」が必要である。
私たちの手元には、その「希望」だけは可能性として残っている。
その「希望」を手放してしまったとき、私たちにはもうなすすべがない・・・。

この元旦に、園子温監督の「希望の国」という映画を見た。
「福島」後の時代設定、「長島」という架空の土地で津波と原発事故が襲ってしまう、
「どこにでもいる家族の、悲しくて美しい物語」。
ほとんど絶望的なまでの暗いストーリーなのだが、タイトルは「希望の国」。
まさに、パンドラの箱の話のような。

ということで、今日は、岸洋子の「希望」(1970/1974)を。
レコードのバージョン(1970)ではなく、ライヴヴァージョン(1974)で。

http://www.youtube.com/watch?v=fLLqxHkhf9o

続いて、野村萬斎の舞う「三番叟(さんばそう)」。

この翁の舞、いろいろ奥が深く、折口信夫からはじまって、
これについていろいろ調べていたことがあった。
最近では、梅原猛の能関係の著作も必読。

これは『狂言劇場その壱』に収められたもののダイジェスト
(ほんとはもっとかなり長いけれど)。特に後半の黒式尉を付けた舞が圧巻。
これはぼくの宝物とでもいえるDVDで(このDVD何度でも見返したくなる!)、
幸いYouTubeに!ご紹介できて、ラッキーでした。

ちなみに、三番叟は、式三番(能の翁)で、翁の舞に続いて舞われ、
能楽では狂言役者が演ずることになっている。
「式三番」という名称は、例式(「父尉」「翁」「三番猿楽」)の 3番の演目という意味。
「三番叟」は 3番目の演目。
舞は、揉ノ段と鈴ノ段に分かれ、
前半の揉ノ段は、面を付けず、足拍子を力強く踏み、軽快・活発に舞われ、
後半の鈴ノ段は、黒式尉を付け、鈴を振りながら、荘重かつ飄逸に舞われる。

http://www.youtube.com/watch?v=aZDgfm88unE

そして、「3」のおまけで、ふと思い出した映画「第三の男」から、そのテーマ曲を。
「第三の男」は、1949年製作、キャロル・リード監督のイギリス映画、ハリー・ライム役のオーソン・ウェルズで有名。ちょっと懐かしい名画。

http://www.youtube.com/watch?v=QbTS2aXMLsw

最初に少しふれた園子温監督の映画『希望の国』については、このサイトで。

http://www.youtube.com/watch?v=Z0ectOihACs