土取利行「縄文鼓ライヴ」「銅鐸演奏」「ノンキ節」

2012.12.9

土取利行
「縄文鼓ライヴ」
「銅鐸演奏」
「ノンキ節」

今日も昨日に続いて日本の音楽から。
日本のはじめまで振り返ってみようというわけで、縄文の音楽を、
昨日ご紹介した桃山晴衣とのコラボもある土取利行の演奏で。

土取利行(つちとり・としゆき/1950.9.1.-)は、
香川県出身の音楽家・パーカッショニスト。
ぼくがはじめてこの人のことを知ったのは、
讃岐関係のサヌカイトの演奏のアルバム「磬石(サヌカイト)」1986年。
ちなみに、桃山晴衣とのコラボアルバムは、
「夢二絃唱 / 土取利行 & 桃山晴衣」1989年。
土取利行は、最初はモダンジャズから出発したそうだが、
1970年代のはじめごろ、前衛ジャズドラマーとして本格邸に活動をはじめ、
近藤等則、坂本龍一、音楽評論家の間章らと音楽活動を展開。
フリージャズのミルフォード・グレイブスやデレク・ベイリーなどともコラボしていた。
そうしたフリージャズ的な活動の他、
演劇音楽、古代音楽、民族・民俗音楽などジャンルを横断した活動を続けている。

著作に、『螺旋の腕』(1988)や『縄文の音』(1999)などがある(面白いです)。
ほかに、ハズラト・イナーヤト・ハーン『音の神秘』(1988)の訳もある
(何度も読み返しても発見のある内容の濃い本)。

そんな土取利行の縄文関連の演奏から「縄文鼓ライヴ」があったのでそれを。
土取利行は、縄文土器のなかで、珍しく口縁が水平で頸部に隆起した帯があり
小さな孔が一列ついているものを縄文時代の太鼓、
「縄文­鼓(じょうもんこ)」として復元。
それを演奏したライヴがこれ。

http://www.youtube.com/watch?v=ma4S9uXEEZs

続いて、「銅鐸演奏」を。
銅鐸は、BC2世紀から2世紀のあいだの約400年間使われたもので、
実際には何に使われたかわかっていないが、土取利行はそれを吊して演奏している。
なかなかにシャーマニスティックな感じが伝わってくる。
サヌカイトの感じをさらに神秘的にしたようだ。

http://www.youtube.com/watch?v=BzNQ8SVCgL0

おまけは、ちょっと気分を変えて、
土取利行の多彩さとしゃれっ気の側面を、「ノンキ節」で。
「ノンキ節」というのは、添田唖蝉坊(作詩・曲)。
大正6年に作られ7年から流行したもので、
縁日や夜店などで演歌師がうたっていたそうだ。
それを土取利行が三弦の弾き唄いをしている。
大正時代の唄なのに、歌詞をきくとなかなか皮肉がたっぷりでなかなかいい。
当時の日本と今とではずいぶん状況が違うはずなのに、
いろんなところがかなりだぶってきこえる。
それを「ノンキ」として歌うユーモアが、
深刻なグロテスクなまでの批判よりずいぶんいい。
この添田唖蝉坊の作品をはじめ、
土取利行はこの方向性の演奏もけっこうあって、楽しめる。

http://www.youtube.com/watch?v=BCTOU0S3wqU