「映画に耳を」をめぐる逍遙 04 

『海の上のピアニスト(The Legend of 1900)』(1998)

4回目は、ジュゼッペ・トルナトーレ監督の『海の上のピアニスト』(1998)。
この映画は、巨大な客船で生まれ育ち一度も陸にあがったことのない音楽家が主人公。名前は「1900 (ナインティーン・ハンドレッド)」。その主人公を演じるのは、ティム・ロス。なかなかいい。なんだかとても記憶に残っている映画のひとつだ。ティム・ロス主演でほかに印象に残っているのは「コッポラの胡蝶の夢」(2007)の言語学者ドミニクの役。原作はミルチャ・エリアーデの小説。
音楽家が主人公のわりには全体としては音楽のないシーンのほうが多いという印象があるが、音楽は、エンニオ・モリコーネ。担当した映画音楽で個人的にいちばん印象に残っているのは、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』だろうか。
さて、ご紹介するシーンと音楽は・・・。
「1900」の音楽を世間に広めようとレコード会社の人間が録音にやってくる。1900はろくに話も聴かず演奏を始めるが、この時、何気なく窓に目をやると美しい女が見え、恋に落ちてしまう。この音楽がなかなかいい。しかし、録音が終わると、「1900」は契約を破棄してしまう・・・。
このシーンは、何度見直しても飽きない。ティム・ロスが女性に見とれ心を奪われながら(ほとんど無表情だけれど、それがいい)弾くピアノのシンプルで美しいこと。

http://www.youtube.com/watch?v=lgXW6XDnhXA