エドゥアール・シュレー『偉大な秘儀参入者たち

2013.1.28

・エドゥアール・シュレー『偉大な秘儀参入者たち(2013.1.28)

水声社の「神秘学叢書」として「近刊予告」されてから29年、
ようやくエドゥアール・シュレー『偉大な秘儀参入者たち』
(西川隆範他約/水声社 2013.1.10)が翻訳・刊行された。
ずっと読みたいと思ってきた著作である。

エドゥアール シュレーがシュタイナーに出合ったのは1906年5月。
マリー・フォン・ジーフェルスがシュタイナーに紹介したのが1902年、
ジーフェルスが『偉大な秘儀参入者たち』を翻訳(独訳)刊行されたのは1907年、
そして「ルシファーの子供たち」が神智学協会ヨーロッパ支部総会で上演されたのが1909年で、
その上演に際してシュタイナーの連続講演「西洋の光の中の東洋」が行われた。

本書のコンテンツは
「ラーマ/アーリア期」「クリシュナ/インドと婆羅門の秘儀」「ヘルメス/エジプトの秘儀」
「モーセ/イスラエルの使命」「オルフェウス/ディオニュソスの秘儀」「ピュタゴラス/デルフォイの密議」
「プラトン/エレウシスの秘儀」「イエス/キリストの使命」とあり、
どの章も内容はすごく濃く、シュタイナーの秘儀に関する示唆を理解する上でも非常に重要な内容が盛られている。

シュタイナーは、この講演について
「ギリシアの秘儀の密議/宇宙の奇蹟、魂の試練、霊の開示」という
1911年8月18日~28日の連続講義の最初の講義で、次のようにこの本の重要性について示唆している。
(「シュタイナーコレクション4(筑摩書房)所収)

  「未来のヨーロッパ人が広範囲に必要とするであろうこの霊的生活の方向は、非常に重要な書物
  の中に、はっきりと示されています。真なる神智学が語る未来の生活の発端が、この書物の中に
  示されているのです。それはエドゥアール・シュレーの『偉大な秘儀参入者たち』という書物で
  す。昨年のミュンヘンでの連続講義『創世記の秘密』の冒頭でもこう申し上げました。ーー未来
  へ目を向け、未来が私たちに何を求めているのかを知ろうとする人は、この本が古い神秘主義と
  新しい枯れた科学の間に横たわる、あの黄金の中道を読書界に打ち出したことを、そして『偉大
  な秘儀参入者たち』がすべてのヨーロッパ民族のための大切な、意味深い発端となるであろうこ
  とを、理解する、と。私の個人的な好みに応じた仕方で、この書物が私に好印象を与えたのでは
  ありません。こういう書物が現れることが、ヨーロッパの文化条件の求めに応じた行為である、
  と思うからこそ、私はこの本を高く評価するのです。」

「ヨーロッパ」とあるが、これは紹介された秘儀内容がヨーロッパ的であることは確かだとしても、
「世界の文化条件の求めに応じた」ものであるといっても過言ではないのではないかと思われる。