『演劇 vs. 映画――ドキュメンタリーは「虚構」を映せるか』

2012.11.17

『演劇 vs. 映画――ドキュメンタリーは「虚構」を映せるか』
(岩波書店/2012.10.19)
想田和弘監督作品『演劇1』『演劇2』

以前ご紹介した、平田オリザの演劇をテーマとしたドキュメンタリー(「観察映画」)、
想田和弘監督の『演劇1』『演劇2』の映画を観てきました。
『演劇1』が2時間52分、『演劇2』が2時間50分で、全部で約6時間。
これに、本日は岡山での初日ということで、
『演劇1』では、平田オリザと想田和弘監督によるトークショー、
『演劇2』では想田和弘監督によるトークショーがそれぞれ1時間以上あり、
ざっと8時間を劇場で過ごすことに。

しかし、それぞれの4時間がほんとうに短く感じられるほど、
とても素晴らしい映画とトークで、
『演劇2』ではぼくの質問にも監督がていねいに答えていただきました。

ぼくは、大学のときぼくも少しですが演劇部に所属していたこともあり、
演劇には少なからず興味を持ってきましたし、
その影響からか、卒論の最後は「演劇的知」のほうへ方向づけたものになったほどです。
そして、平田オリザの演劇に対する考え方にも大変共感をもっています。
映画にもあった平田オリザ本人のことばでいえば、次のようなこと。

  ペルソナというのは、仮面と言う意味と、
  パーソンの語源になった『人』という意味の両方を兼ね備えているんです。
  要するに仮面の総体が人格なんです。だから私たちは演じる生き物なんですね。

平田オリザのコミュニケーション能力に対する考え方もそこからきているようです。

さて、以前も書きましたが、想田和弘監督は奥様が岡山の方ということもあり
(上映会の初日ということで、奥様とそのご両親も映画館に来られていました)、
岡山の外来精神科診療所「こらーる岡山」に通う患者達をカメラに収めている
『精神』という映画(2008年)を観たことで、
少なからず興味を持ち、今回につながっている感じです。

サインをもらったというのもあって(^^)、
想田和弘の新刊『演劇 vs. 映画――ドキュメンタリーは「虚構」を映せるか』
(岩波書店/2012.10.19)を帰ってから読み始めているのですが、
今日観た2本に関するさまざまな話題もとりあげられていてとても面白いので、
ご紹介しておきます。
しかし、この映画、名作だと思います。必見。