『井筒俊彦とイスラーム ― 回想と書評』

2012.11.4

編集:坂本 勉・松原 秀一
『井筒俊彦とイスラーム ― 回想と書評』(慶應義塾大学出版会/2012.10.31)

慶應義塾大学出版会から、井筒俊彦関係の本が数年前から出てきている。
井筒俊彦は、ぼくのなかでは、
白川静、河合隼雄といった方に準ずる影響を受けた方の一人。

昨年でた若松英輔による『井筒俊彦―叡知の哲学』は、
これまで全貌がよくイメージできなかった井筒俊彦の
全体像を描いたとてもスリリングな一冊だったし、
これまでほとんど読めなかったエッセイ等を集めた
若松英輔・編集による『井筒俊彦エッセイ集』も
とてもありがたい一冊だった。
その他、『神秘哲学』や『露西亜文学』などの著作も
相次いでこの慶應義塾大学出版会から出版されていてうれしい。

そういうなかで、今回のものは、
「初期から晩年までを、イスラーム学徒・教育者としての側面から回顧し、
戦前戦中から彼が亡くなる1990年代にいたるまでの、
国内外の研究者との交流や組織とのかかわりを掘り起こす
5本のインタビューを掲載」してあるもの。
貴重な一冊となる。

ちなみに、井筒俊彦には、コーランの訳(岩波文庫)や
国内でおそらくまとまったものはこれだけだろうという
『ルーミー語録』(岩波書店/1978)もある。
とくにルーミーを敬愛するぼくとしては、『ルーミー語録』は大変貴重な一冊である。