中沢新一『大阪アースダイバー』

2012.10.26

2005年の『アースダイバー』に続いて、
中沢新一『大阪アースダイバー』がでている。たぶん続編。
「アースダイバー」というのは、
「心の無意識までを含んだ四次元の地図を作成する作業の全体」だという。
今回の対象は、大阪。
現在の大阪は5000年ほど前にはほとんど海の底にあったが、
南北に走る上町台地だけが、古くからある陸地で、
それに住吉~四天王寺~生駒の東西軸が交差するという、
座標軸が大阪の基盤となっていて、その中心にあるのが四天王寺だといいます。
そして、南からのと半島から到達した海洋民がもともとの先住民と出会って、
砂州の上に融通無碍な商いの都が誕生・発展した、という。
そんな観点で、大阪の無意識・四次元へとダイヴィングするという試み。

ところで、「エピローグ」のところでおもしろい示唆があったので、それを少しだけ。

「大阪的なポピュリズムは権威が嫌いで、地べたから這い上がってきた人間に、共感を抱きます。」「しかし問題は、現在大阪に疲弊をもたらしているものが、これまでの大阪のポピュリズムを突き動かしてきたものとは、異質な原理であるという点です。橋下さんは、自分の背後で動いているのが、「大阪の原理」とは異なることを知りつつ、それに乗ろうとしています。しかしどうも最近「大阪のおばちゃんたち」はそのことに少し疑問をいだきはじめているように感じます。これでいいのだろうかと思い始めています。だからもう少し時間が必要なのでしょう。もう少し時間が経てば、かならずや強靱な「大阪の原理」「大阪の理性」が再び働き始めるはずですから。」

はたして、「大阪の理性」が働くかどうか。注目しておきたい。
ぼくの考えでは、そこになにか新しい原理が付け加わる必要があると思うのだが、
どうだろうか。