『僧侶の歌』

2012.10.9

 短歌がらみでもう一冊。
柿本人麻呂から塚本邦雄まで日本の代表的歌人の秀歌が読める
「コレクション日本歌人選」の新刊に、『僧侶の歌』 (2012.8.30発行) がある。

「最澄や空海、法然、栄西、道元、親鸞、日蓮、一遍、一休、蓮如、沢庵、
白隠といった日本の宗教界をリードした高僧や僧侶たち」の歌が集められていて、
ちょいと抹香臭いが面白い。
個人的にはスーフィーのようでありたいと思っているのだけれど。

紹介しようと思ったのは、
そのなかにぼくの敬愛する夢窓疎石の
「極楽に行かんと思ふ心こそ地獄に落つる初めなりけり」という歌があったからだ。
「いずれの行もおよびがたき身なれば、とても地獄は一定すみかぞかし。」(親鸞)

 この「コレクション日本歌人選」のシリーズは、
たしか最初にでたのが塚本邦雄だったと思いますが、
それ以降気になってぱらぱらと見ていたりします。
この巻ですが、最後のほうにある江戸後期の臨済宗の僧・仙厓義凡の歌で、
「老人六歌仙」という漫画風の絵の画賛に添えられているこんな句も面白いです。
「くどくなる気短になる愚痴になる出しゃばりたがる世話やきたがる」