風のブックメモ

ひもとロープの結び方


2007.4.3

■『暮らしにすぐに役立つ ひもとロープの結び方』
 (講師・木暮幹雄/NHKまる得マガジン/2006.11.1.発行)

NHKの教育テレビで放送されていたようだけれど、
ぼくがこのテキストを見つけたときには、すでに放送は終了していた。
遅かりし!とは思ったものの、書店でこのテキストを眺めながら
これまであいまいにしか覚えていなかった「結び方」を
シミュレーションしているうちにけっこうな時間が経っていたのに気づいた。

テキストには「ひもとロープの結び方」が次の16種類紹介されている。
基本的に知っている結び方もあるけれど、
へ〜、こんなふうに結べばしっかり結べるんだ、とか
こんなことも比較的簡単にできるんだ、とか
目から鱗・・・のところがたくさん。

1)新聞や雑誌を束ねる 2)靴ひもを通す、結ぶ 3)袋の口をしばる
4)荷造りをする1 5)荷造りをする2 6)荷造りをする3
7)荷物に取っ手をつける 8)バケツを上げ下げする 9)物干し用ロープを張る
10)垣根やさくをつくる 11)額縁をかける 12)こぶをつくる
13)携帯電話のストラップをつくる 14)コースターをつくる
15)ウォールハンガーをつくる 16)縄ばしごをつくる

手先の不器用な哲学者はいない、とはシュタイナーの言だが、
こうした身近な「技」を身につけておくというのは
「考える」ためには必要なことだといえるかもしれない。

実際、思考訓練などにおいても、
実際にやったことがあるとか、理解できるというのは重要で、
そうでないとき、その思考は生きたものにはなりにくいところがあるようにも思う。
もちろん、こうした「技」は必要条件であって十分条件ではないのだけれど。

では、ご紹介の最後に木暮幹雄さんの言葉から。

  いつ、誰が結びを発明したのかは大きな謎です。しかし、わたしたちの
  遠い祖先が結びを発明し、暮らしの中で使ってきたことは間違いありま
  せん。時代が進むにつれて、また、生活や作業の必要に応じて、それに
  ふさわしい結びが次第に増えてきて、現在では4,000種以上の結びがあ
  ります。まさに、“結びは文化のバロメーター”といえるでしょう。そ
  の意味で、一本のひもやロープで結ぶ伝統を次の世代に伝えたいもので
  す。
  (…)
  わたしたちの祖先が発明した伝統的な結びを、現代でも使えることは楽
  しみでもあります。“結びの神”や“縁結び”などといわれるように、
  結ぶということには、霊的パワーがそこに生まれるという意味もありま
  す。

この「結び」、もちろん「おむすび」もそうで、
手をつかってそこに生まれる動きやかたち、
そしてそこに加わってくる力のさまざまなど、
まさにそこには不思議な力が生まれる
なんらかの法則のようなものがあるようにも感じられてくる。
奥が深そうだ。