風のブックメモ

南風食堂『スープの本』


2007.4.2

■南風食堂『スープの本』
(主婦と生活社/2006.12.11.発行)

「スープ」は、温かいものとはかぎらないけれど、
ほんとうは冬のあいだにご紹介するほうがよかったかもしれません。
それでも、ぼくはひそかに、この3ヶ月ほど、
毎日のようにこの本のページをめくりながら、
いろんなスープのつくりかたに、なるほどなうほどおいしそうだ、
という想像をさまざまにくりひろげてきたのでした。
とはいえ、やはり自分でつくってみないことにはと思ったまま
忙しさもあってまだ試すことができていないのは残念。

この本を買い求めることになってしまったのは、
「スープ」という名称にあわせて、
まるで絵本のような、
でもさほど子どもっぽくもない感じの表紙に気をひかれ、
ぱらりとひらいたそこに、「ポトフー」が載っていたからでありました。

ぼくはシンプルな食材と味付けのポトフが気に入っていて、
秋、冬になると、わが家でも食卓にのぼることが多くなります。
あまり手がかからないというのもあるのですが、
そもそもぼくは、ニンジンが大の好物で、
ニンジンをほとんど野性的なまでに大切りにしたまま食べられる
このポトフほどニンジンを多量に食べられるときも少ないというのも
大きな原因になっているのだろうと思っています。

そうそう、少し前に素敵なレストランを見つけて
すっかりファンになっているのですが、
そこで食べたクスクスの野菜のなかに、
大きく縦に半分にしただけのニンジンが入っていて
これは、ぼくのようなニンジンファンにはこたえられない驚きでした。
これは余談。

ポトフに話を戻して、
こんなシンプルな料理にもかかわらず、
ぼくがつくるのとyuccaがつくるのとでは
やはり味もずいぶん違ってくるというのは不思議なことで、
シンプルなものほど奥が深いのかな、とか勝手に思っていたりもします。
ぼくがつくるほうが、雑だということだけのことかもしれないのですが。

さて、本書の紹介を最後に引用などでさらりと。

  この本では、みつばちが40のスープをめぐる旅に出ます。
  みつばちは、花から花へ、次のいのちへつながるものを渡していく役目。
  私たちもいろいろなところで料理をつくって、
  その風景の中で出会った人や、できごととの関わりを、
  新しい料理のアイデアへとつなげてきました。
  そこでの食の場は、どれも自由な音楽のように
  甘くやわらかく、楽しいものばかりでした。
  この本の中での旅は、どんなものになるのでしょうか。
  それでは、40の色とりどりのスープとともに、
  私たちの友人であるみつばちの旅をお楽しみください。

「南風食堂」というのは、「小岩里佳と三原寛子による料理ユニット」で、
「食」の場のプロデュースを行なっているのだということ。
http://www.nanpushokudo.com

「みつばち」というのは、このスープの旅(物語)の案内役で、
第1章「大地」(ポタージュ)〜第2章「雨」(ヌードルスープ)〜
第3章「芽が出る」(野菜、ハーブが主役のスープ)・・・
第9章「家」(南風食堂の定番スープ)というように、
スープでたどりながらさまざまなスープが物語られていきます。