風のブックマーク2004
「物語」編

 

T.E.カーハート『パリ左岸のピアノ工房』


2004.4.16

■T.E.カーハート『パリ左岸のピアノ工房』
 (村松潔訳/新潮社クレストブックス/2001.11.30発行)
 
yuccaの弾くピアノをもう2週間以上も聴いていない。
引越の際に、ピアノをクレーンで部屋に運び込む際に、
それを担当したピアノ工房の方の勧めで修理してもらうことにしたのだ。
ピアノの修理には一ヶ月ほどかかるという。
 
yuccaの弾いてきたピアノは
30年ほどまえに生産されたヤマハのU7Hというモデル。
ヤマハのピアノの歴史のなかでも名器といわれるモデルらしく
ピアノ工房の方が、運び込む際にそれに気付き、
ちゃんと修理してこれからも永く使ってほしいと思ったのだろう。
 
ヤマハのU7というモデルに関しては、
たとえば以下のところでもこのように紹介されている。
U7にHのついたモデルはさらにすぐれているらしい。
 
http://member.nifty.ne.jp/snd-pt/exq_inst.htm
 
	以上、ヤマハの基本ラインナップについてみて
	みましたが、U1〜3以外に 5とか7の付くモデルも
	存在します。 U5(左図)やU7(上図)といわれるモデルが
	該当します。高さはU3系と同じですが、中身はまったく
	別物です。
 
	特に「U7」は、総アグラフという技術を取り入れた、
	ヤマハにおける最高の名器です。 内部の構造を見ると、
	あちこちに名器に良く似た部分があります。
 
	外観は、前期モデルはチーク材に薄いクリア層を塗って
	艶出しで仕上げてありますが、後期モデルはチークの木目を
	直出しとして、七分艶で仕上げてあります。
	(写真は前期モデルです。)
 
	ペダル付近に施された金色の装飾が何とも言えませんね。
	当方のお客様データ上も5台しか存在せず(2003年9月現在)、
	非常に貴重なモデルと言えます。
 
	これらのピアノをお持ちの方は、是非とも末永く大切に
	されることをお勧めします。
 
ぼくはyuccaのように自在にピアノを弾いたりはできないけれど、
yuccaの弾くピアノの音はとてもふくよかでしかも力強い。
ぼくもときおり即興的に遊んで弾いてみたりもするのだけれど、
弾く指の感触と響いてくる音の感じがとても気持ちいい。
 
さて、前置きが永くなってしまったが、
こういうことがあって、
以前から気になっていたこの『パリ左岸のピアノ工房』という
ピアノ工房と音楽の喜びについての物語を読んでみることにした。
 
著者はパリの裏町でピアノ工房を見つけ、
そのピアノ工房で物語が始まっていく。
そこに流れる時間は、昨今の慌ただしい時間の流れとは異なり、
とても静かで愛おしい。
 
yuccaのピアノも今ピアノ職人の方の手で修理されている。
そんななかで静かに読み進めているピアノ工房の話は
とても近しく感じられてくるのだ。
今修理をたのんでいるピアノ工房にも
足を運んでみることができればと思ったりもしている。
 
 

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