風のブックマーク2004
「漫画」編

 

漆原友紀『蟲師』


2004.12.29

■漆原友紀『蟲師』1〜5
 (講談社・アフタヌーンKC/2000.11.〜2004.10)
 
蟲師。
むしし、と読む。
 
この秋、『フィラメント』(講談社・アフタヌーンKC)という
初期短編集を書店で見かけて以来、少し気になっていたものの、
先日までその短編集もふくめ、『蟲師』という
かなり異形のイメージをもった雰囲気のために遠巻きにしていた。
正月休みに久しぶりにまとまって面白そうな漫画でも読んでみよう、と
いろいろ物色しているうちにあらためてその存在を思い出し、
えいやっという賭の気分で買ってみたところ、これが大当たり!
 
「蟲」について最初の巻の冒頭にこうある。
 
	およそ遠しと
	されしもの
 
	下等で奇怪
	見慣れた動植物とは
	まるで違うと
	おぼしきモノ達
 
	それら異形の一群を
	ヒトは古くから
	畏れを含み いつしか
	総じて「蟲」と呼んだ
 
この「蟲」、ある意味で四大元素霊のような存在で、
見えるヒトには見え、感じることのできるヒトには見えるが、
ふつうはその存在を知られないままなのだが、
その「蟲」を探求して旅をする「蟲師」の「ギンコ」を中心に、
さまざまな「蟲」たちが織りなす独特の世界が
この漆原友紀の『蟲師』である。
 
一巻あたり5〜6話。
これまでちょっと出逢ったことのないタイプの話で、
どの話も深くしみじみと伝わってくる。
実際に四大霊たちが私たちのまわりで
こんなふうな世界をつくりあげているのかもしれない・・・
とさまざまなことを想像してしまうような話の数々。
 
2000年以来、これまでは一年で一冊のペースで、
現在5巻目まで刊行されている。
今から来年の今頃出るであろう第6巻目が待ち遠しくなってくる。
漫画では久々味わうことのできる本格派のような気がしている。
なにしろ他の種類の漫画に見られるようなモチーフなどとは
まったく別の世界をつくりあげている。
これはやはりちょっとスゴイ。
 
・・・と正月に読むはずの漫画を
ついつい一気読みしてしまったのではありました(^^;
 
「緑のすすきの・蟲師同盟」というホームページに
非公式ファンサイトがあるので、興味のあるかたはのぞいてみてはいかが。
http://www10.plala.or.jp/musisi/musisi/
 

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