風のブックマーク2

バイオダイナミック農法入門


2006.8.3

 

■ウィリー・スヒルトイス『バイオダイナミック農法入門』
 (由井寅子 日本語版監修・塚田幸三訳/ホメオパシー出版 2006.7.20.発行)

農業に少なからず関心をもつようになったのは、
福岡正信さんの自然農法についての本を読んだのがきっかけだったように思う。
その当時住んでいたところが、福岡正信さんの農場から
車で30分足らずのところだったというのもあったかもしれない。

その後比較的すぐシュタイナーに興味をもつようになり、
でている邦訳を片っ端から集めて読みあさるようになったとき、
人智学出版社からでていた『農業講座』がそのなかにあった。
内容が内容だけにいまだに理解がどこまでできているかはなはだあやしいけれど、
とにもかくにもそのとき「バイオダイナミック農業」のことをはじめて知って、
シュタイナーの射程はそこまで及んでいたのかととても驚いたことを覚えている。
今や手軽に手に入るウェレダの商品もまだ日本ではあまり手に入らない状態で、
個人輸入で入手したこともあった時代のことである。

その後、理解はいまだにあやしいままだけれど、
こうして『バイオダイナミック農法入門』とかいう文献が
訳され始めていることに、時代の流れを感じたりもする。
とはいえ、環境問題をはじめとする諸問題はまるで解決に向かっているどころか、
ますます切迫した危機感を持たざるをえなくなっている状況で、
だからこそ、バイオダイナミックをはじめとする農業に関する取り組み
少なからず注目が集まり始めているということなのだろう。

本書は、「入門」とあるように、
シュタイナーが『農業講座』で語っているような
宇宙論的な内容はほとんどみられないものの、
バイオダイナミック農業の背景を中心として
その基本的な概略をまるで教科書のようなかたちで
コンパクトにまとめてあるものである。
ちなみに、各章は、順に次のような内容で構成されている。
「農業と環境」「生物としての地球」「バイオダイナミック農法の歴史」
「バイオダイナミック農法の実践」「社会的側面」「将来展望」。

前回、塚田幸三訳としてご紹介したカール・ケーニッヒの『動物の本質』と同じく、
今回もホメオパシー出版刊・由井寅子さんの監修で刊行されているが、
その監修者まえがきには、塚田さんから本書の出版の打診があったことが書か れている。
ちょうど由井さんも、来年から「バイオダイナミック農法」「農業へのホメオ パシーの応用」
そして「ホメオパシーの共鳴原理を応用した環境を変革するホメオパシー電子 装置」という
3つの柱を基本として、「世界初の本格的な農業試験プロジェクトを北海道で スタート」させる
ことになっているのだそうで、そんななかでの本書の刊行も、
ひとつのエポックになることになるのかもしれない。

ちなみに、由井寅子さんは福岡正信さんとおなじく愛媛県出身だそうで、
ぼくも生まれは高知だけれど基本的には愛媛県育ちなので、
どこかでなにかご縁を感じることもあったりする。