風のブックマーク2

 平岩浩二『動物の心がわかる本』


2006.4.12.

 

■平岩浩二『スピリチュアル・リーディング/動物の心がわかる本』
 (中央アート出版社/2003.12.25.発行)

『ペットたちは死後も生きている』(日本教文社)という本がでているが、
これは、イギリスのスピリチュアリストであるハロルド・シャープという人が
ペットの死後生存についてのさまざまな事例を紹介したもので、
そのことをとりあえず認めるとすれば、
飼っていたペットが死後も集合魂的なかたちではなく、
個別的に存在しているということになる。

シュタイナーは、動物は人間とちがって自我をもたず、
集合魂的なありかたをしているというふうに言っているけれど、
「動物」とひとくちにいってもいろいろあって、
人間は人間、動物は動物という原則はあったとしても、
そこにはさまざまな意味での例外はありそうである。

本書は、アストラル界でシュタイナーに師事したとかいう平岩浩二による
(とりあえずその真偽は保留にしておきたいと思っているが、
本書を含んだ著書を読む限りでは、あくまでも限定付ではあるけれど、
少なくともシュタイナーの言っていることと基本的に矛盾はしていないようではある)
動物に関するスピリチュアル・リーディングをまとめたもので、
とてもコンパクトにまとめられている一冊ではあるが、
興味の尽きない内容が満載されている。

それによると、動物のなかには少数ではあるけれど、
自我を獲得する個体があって、人間にも転生してくることもあるという。
もちろん、そのぶん、人間が動物に転生することもある。

その人間に生まれ変わる可能性のある動物は12種類で、
「イヌ・オオカミ」「ネコ」「馬」「ゾウ」「イルカ」
「クジラ」「シャチ」「ジュゴン・マナティ」「サル」「カラス」が挙がっていて、
最初は、半ば興味本位で読んでいたものの、けっこうリアリティがあって、
それについてもご紹介してみたいところではあるけれど、
それよりも、本書を読んでとても重要だと思ったのは、
動物の存在意味について示唆されているところだった。
少し長めになるが、大切なところなので引用しておきたい。

シュタイナーによれば、動物は、人間の能力を分散して保管しているのです。
逆にいえば、動物それぞれの能力をトータルしたのが人間だということにな
ります。・・・
動物が人間の能力を分散して保管しているといっても、それは今、人間がも
っている能力とは限りません。むしろ、未来において獲得する能力の方がず
っと多いのです。
ですから、動物の世界を見渡せば、未来の人間がどうなるかわかります。動
物といっても、大変な種類があります。そのひとつひとつが、人間の可能性
を分割して保管してくれているのです。そう考えると、未来の人間は、現在
の私たちの想像を絶するすばらしい存在だということになります。
では、その未来とは、いつのことでしょうか?
それは、地球が次の劇的変化をとげた後、すなわち木星紀のなかばに起こり
ます。木星紀のなかばになると、動物の種は、少しずつ順番に消滅していき
ます。そしてそのつど、その動物が保管していた能力を、人間が少しずつ自
分のものとするのです。すべての動物が消滅した時、人間はある意味で、完
璧な存在となります。
動物が消滅するといいましたが、それは現在、世界中で急ピッチで進行して
いる種の絶滅とは、まるで違う出来事です。
・・・
役割を全うしないで、地球期に絶滅してしまった動物はどうなるのでしょう
か?そう、彼らは、人間のなかで生き続ける可能性を、永久に失ってしまっ
たのです。・・・
動物の種類がひとつでも滅ぶことは、人間にとっても、とりかえしのつかな
い不幸な出来事です。なぜならば、すべての動物の種類が、人間が未来に獲
得する能力を、分散して保管しているからです。もちろん、それぞれが別の
能力をです。ですから、絶滅した動物が保管していた能力を、人間は、木星
紀になっても獲得することができません。・・・それをどう補っていくかが、
これからの大きな課題になってきます。

動物を絶滅に追い込むということは、
人間が獲得可能な能力を自分で失っていくことだというのである。
人間は自分で自分の首をしめている。
人間は互いに殺し合い、それだけではあきたらず、
自分の未来をも殺してしまうほど愚かな存在になってしまおうとしている・・・。

スピリチュアル・リーディングの真偽はともかく、
本書に述べられている動物に関する内容はぼくには非常に興味深いもので、
いちいち説得力があって、とりあえず仮説またはファンタジーとして読んでも、
動物を、動物の「心」をこうして理解しようとする姿勢そのものは
とても豊かなものを私たちにもたらしてくれると思われる。

ペットに死後また会える云々のことは、それはそれで感動的ではあるけれど、
もっと重要なのは、この地球上に生きているさまざまな動物についてもっと関心をもち
そこから何を学ぶことができるのかをきちんと理解しようとすることだろうと思う。