風のブックマーク2

 梅田望夫『ウェブ進化論』


2006.2.8.

 

■梅田望夫『ウェブ進化論/本当の変化はこれから始まる』
 (ちくま新書582/2006.2.10発行)

ぼくの知るかぎり、ウェブの現在と未来について
もっともコンパクトにしかも説得力をもって論じているのは
この梅田望夫の著書だろう。

ぼくは、1991年にパソコン通信をはじめ、
1997年にインターネットでこうしてHPとMLをはじめた。
インターネットの発想については、2001年にでた
糸井重里の『インターネット的』がぼくには頷けるところが多々あり、
『インターネット的』ノート、なるものを書き付けてみたこともあった。
 http://www.bekkoame.ne.jp/~topos/siso/internet.html
しかしそれはもちろん、ウェブの技術云々ではなく、
あくまでもインターネットというコンセプトに関する視点だったのだが、
この『ウェブ進化論』は、まさに現在進行形のウェブが与えつつある、
そしてこれから与えようとしている変化についての
大きな見取り図のようなものを提示しようとしているように見える。
しかも、冷たい「論」でも「説明」でもなく、
非常に熱い思いをもった著者の生き方そのものをも含んだかたちで。

本書で主に「新現象」として読み解こうとしているのは、
グーグルが牽引する検索技術の進化であり、
またブログ、ロングテール、Web2.0などであり、
ぼくとしても昨年来あれこれと機会があるごとに
さまざまな場所で耳にし、体験し、説明を受けてきたテーマである。
それらはぼくのなかでまだうまく位置づけをできないでいたところもあるのだが、
本書でそれらがようやくぼくのなかでひとつの「像」を結びつつある。
ウェブの進化は高速で進んでいるが、
そのつどのあらたな現象について付加されながらも
本書はおそらく基本線としては数年後に読まれても
そう古びないのではないかと思われる。

梅田望夫さんがひらいてあるブログ
「My Life Between Silicon Valley and Japan 」では、
http://d.hatena.ne.jp/umedamochio/
この「ウェブ進化論」に関する音声記録でのつい昨日行われた
パネルディスカッション等も以下のように、登録されている。
とても面白い話がきける。

梅田望夫がブロガーと語る「ウェブ進化論」ポッドキャスティング
昨日2月7日に都内で行われた「梅田望夫がブロガーと語る「ウェブ進化論」」 の音声ファイル
http://hatenastaff.g.hatena.ne.jp/files/hatenastaff/52dcdf82c87e599b.mp3 
第一部 これからのメディアについて(梅田望夫がブロガーと語る「ウェブ進 化論」ポッドキャスティング)
http://hatenastaff.g.hatena.ne.jp/files/hatenastaff/e8b3ae80d30351c5.mp3 
第二部 これからのSNSとブログについて(梅田望夫がブロガーと語る「ウェブ 進化論」ポッドキャスティング)
http://hatenastaff.g.hatena.ne.jp/kawasaki/rss2

さて、昨年いろいろなところできいたなかで
もっともぼくがすごいなと思ったウェブ現象は、
遅まきながら、やはるグーグルである。
しかし、アメリカでは圧倒的にヤフーよりも
グーグルが受け入れられているのに対して、
日本では逆に圧倒的にヤフーである。
なぜなのだろう。

グーグルはみずからのミッションを
「世界の情報を組織化(オーガナイズ)し、
それをあまねく誰からでもアクセスできるようにすること」
と定義しているのだが、
たしかにグーグルとヤフーではその根本的な理念が異なっている。

仕事でもネット広告というのが少しずつ増えてきていて
バナー広告だとかリスティグ広告だとかいうことで、
いろんな引き合いがあったりするのだけれど、
やはりクライアントのほうでも、グーグルの系列よりも、
ヤフーを迷わず選択するケースのほうが多い。

グーグルを使うということは、
ある意味、検索したいものが明確であればあるほど
ほんとうにびっくりするような利用の仕方があるのだけれど、
日本人の多くは、やはりあのヤフーのトップページのように
週刊誌の見出しの端末のようなものがあって
そこから「選ぶ」という使い方のほうが「楽」というか、
選ぶ項目がしっかり提示されていないと
どうしていいかわからなくなってくるところがあるのかもしれない。

ぼくも、なんとなく新聞がわりに
その日のヘッドラインを見ようと思えばヤフーをのぞき、
しっかり検索をしたり、いろいろ新しい発見はないかと
好奇心いっぱいのときには、グーグルを使う。

さて、ウェブの進化は今後どんなスピードで
どんな方向に向かっていくのだろうか。
とても興味津々の話題なので、
これから日々この梅田望夫さんのブログをマークしながら、
そのつどなにが起ころうとしているのかから目を離さないようにしたい。

とはいえ、ぼくがこうしてひらいている
HPやMLなどは、1997年に開いていらいの
旧態依然としたやり方をそのままにしていて
ブログなども面倒なので開いていないくらいで、
そうしたウェブの進化に対応して形をそんなに変えようとは
今のところは思っていない。
テーマがテーマでそんなに一般的なものでもなし、
あぶなそうな人も「神秘」となると来そうだし・・・、という感じである。
その前に、しっかりぼくのなかの重要テーマを深めることのほうに
エネルギーを使うのがいいかなと思っている。