風のブックマーク2

 ノヴァーリス作品集


2006.1.12.

 

■ノヴァーリス作品集 第1巻 サイスの弟子たち・断章
 (ちくま文庫/2006.1.10.発行)

トポスのHPのトップページには、ノヴァーリスの
「すべての科学(学問)は、ポエジーになる…、哲学になったあとに。」
という言葉を掲げてある。
ノヴァーリスの思想は、ある意味、精神科学のプロローグとしても
位置づけられるのではないかと思っている。

ノヴァーリスの驚くべき(まさに、驚くべき)思想については、
中井 章子『ヴァーリスと自然神秘思想―自然学から詩学へ』(創文社)が刊 行されたことで、
単に「青い花」のイメージではなく、そのタイトルにあるように
「自然神秘思想」を含んだ全容を見渡すことができるようになっている。
(この本も、ある意味では、トポスの推薦書の上位に位置している)

また、ノヴァーリスの全集は数年前に、沖積舎から全3巻で刊行されているので、
その内容を確認することはできるようになっているのはうれしい。
原文に関しても、ネットで比較的簡単に得ることができる。

さて、そんなノヴァーリスの、全集ではないが、
主な作品や断章などを収めた作品集が、
今泉 文子さんの新訳、全3巻本で刊行されることになり、
今回、第1巻目が刊行された。

ちなみに、訳書の今泉 文子さんには、ノヴァーリス関連では、
『鏡の中のロマン主義』(勁草書房)
『ロマン主義の誕生―ノヴァーリスとイェーナの前衛たち』(平凡社選書)や
『ノヴァーリスの彼方へ―ロマン主義と現代』(平凡社 )
などがあり、どれも大変興味深く読むことができる。

ノヴァーリスというと、このところ
断章の関係のほうを中心に見ることが多く、
その作品のほうをしばらく読まないでいたが、
この文庫がでたのがあって、久しぶりに
『サイスの弟子たち』を読み返すことができたが、
まさにここには、ノヴァーリスの自然観がめくるまくような仕方で描かれていることを
あらためて確認することができた。

とくに今回の全3巻のうち、この1巻めが内容的にはいちばん濃そうな巻なので、
まだノヴァーリスの断章など読まれてない方はぜひ。