小原玲『螢』


2002.7.27

 

■小原玲『螢』
 (ワニブックス/2002.7.13発行)
 
すでにyuccaが先週の「金ボタル」ツアーの模様をお知らせしていますが、
このツアー、ほんとうにノリで遙々野を越え山越え出かけてしまったもの。
でも、神社の境内で明るいうちから蛍を待ちながら
次第に闇に被われていくなかで現われてくる
蛍の光を体験することのできた時間はとても貴重な体験になりました。
 
この写真集は、この「金ボタルツアー」の前から、
書店の新刊コーナーにあったのを
何度か眺めたことがあったもので、
まさか、このなかに
「日本中で、最も人が集まるホタルの名所だが、
最もホタルが守られている場所でもある」
と紹介されているところに出かけていくことになるとは
思ってもみませんでした。
世の中、一寸先は「闇」ではなく「光」です(^^)。
いや、「闇のなかの光」かな。
 
とくに仕事柄、カメラマンと話す機会が増えてからは、
土門拳などもそうですけど、写真集を見る機会も増え、
書店などでも立ち読み(立ち見)には時間をとったりもするものの
買い求めることは少ないのですが、
この『螢』は、こうした「ご縁」もあり、
家でおりにふれて眺めてみたい気持ちから買い求めることになりました。
図鑑や図録、絵画集もそうなのですが、
やはりお気に入りのものが手元にあるととても豊かな気持ちになります。
現代はそういう意味でもとても便利な時代です。
まさに、「複製技術」の時代ですね。
CDなどの音楽もそうですが。
もっとも、やはりこれも先日yuccaがご紹介した「雪村展」もそうですが、
実際に鑑賞する機会があるに越したことはないですが。
 
ところで、「雪村展」の後半。
前半は仕事で見ることができなかったので、
先週は金ボタルツアーの前日、これも遙々出かけてきました。
やはり実物はいいですね。
鯉に乗った仙人、あれはすごいです。
鯉といえば、「雪村展」を観た後、山口市の瑠璃光寺の五重塔を通り、
そこでも池で鯉を見、さらに野越え山越え、津和野にでかけてみると、
偶然(ほんとうに行き当たりばっ旅」ですが)
鷺舞と子どもたちによる小鷺舞を目にすることができました。
しかも、津和野ですから、鯉。
ううむ、やはり「鯉よ、龍になれ!」、
つまり四大の解放・変容というあたりが、今回のテーマだったのかもしれません。
 
ホタルに話を戻します。
ぼくがホタル狩りをしていた頃というのは、小学生も低学年の頃。
高知の四万十川の支流あたりで、
箒と虫かごを持って暗くなり始めた頃、
川の土手をホタルを見ながら散歩し、
その虫かごに露草を入れ、箒にひっかかってきたホタルを
その中にとって家に持って帰って、
虫かごに霧吹きで水を掛け、軒先に吊るして眺めていたのを
今でも鮮明に思い出します。
今ではなかなかそういう体験もできにくくなっているんでしょうね。
 
ところで、yuccaが調べたところによりますと、
日本のような川のそばで見られる、
ゲンジボタルやヘイケボタルとかいう
水棲のホタルというのは稀で、
むしろ金ボタルのような森に住む陸棲のものがほとんどらしいです。
しかし、ゲンジボタルやヘイケボタルという名前も面白いですね。
なぜ、ゲンジ、ヘイケなんでしょうか。
 

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