■池谷裕二・糸井重里『海馬/脳は疲れない』 (朝日出版社/2002.6.20.発行) 「ほぼ日刊イトイ新聞」で、すでにその一部が紹介されているので、 それを読まれている方もいるかもしれないけれど、 脳の「海馬」を研究している池谷裕二と糸井重里による刺激的な対話。 一般書店での発売は来月らしいのだけれど、 面白そうだったので、先行発売していた「ほぼ日刊イトイ新聞」で注文。 読み始めてみると、予想に違わず、というより、 予想よりずっと面白いスリリングな対話だった。 「海馬」といっても、 ふつう、それが脳のどこに位置しているのか、 またどんな働きをしているのかぴんとこないと思う。 ぼくもこの対話を読み始めるまでそうだった。 実際、「海馬」といわれても、 それが脳のことだというこというさえ わからないかもしれない。 脳の「海馬」というところは、記憶を扱っている部分で、 たとえば、海馬がなくなってしまったら、 それ以前の記憶はあるものの、 新しい記憶は5分経つと消えてしまうらしい。 その「海馬」を中心とした「脳」についての対話。 池谷さんは「あとがき」の最後に、 この本は、私を含め、この地球上に生きるすべての人への応援歌である。 と書き、 糸井重里さんは、「あとがき」で、 池谷さんと脳の話をして、ぼくは「勇気」をもらったように思います。 と書いているように、 確かに、この脳についての話は、希望の話でもある。 なぜ希望の話なのか。 それについては、例のごとく、ノートに記してみたい。 ノートを書くのは実際わりと面倒で疲れるところがあるのだけれど、 この本を読んだ後では、それくらい頑張らないと 「脳」を育てていくことにはならないことがわかったので、 怠けずに書いてみることにしようと思っている。 ちなみに、池谷裕二さんには、ブルーバックスに ■池谷裕二『記憶力を強くする』(講談社/2001.1.20発行) という著書がある。 今回の『海馬』が面白かったので、こちらも今読んでいるところ。 ちなみに、池谷裕二さんは、かなりの秀才のようなのだけれど、 九九はいまだにできないし、小学校のときなどは、 漢字のテストなど、100問中2問しかできなかったらしい。 数学なども公式などは覚えられず、 その都度、公式を導き出しているらしい。 それでもわかるのだけれど、「記憶」といっても、 ただ丸暗記するような記憶のことではなく、 いわばプロセスそのものでもある記憶のことのほうがテーマになっている。 そういう意味でも、昔からきわめて丸暗記的な記憶力に乏しいぼくには、 深い共感をもって読み進めることのできた対話だった。 |