2007年の作品

7月に完成した3本の竿をご紹介します。
上から東京湾フグ竿2本とシロギス竿1本です。毎年、持病の腰痛に悩まされ、特に長時間の座り仕事が必至の竿作りは腰痛持ちにとってはもってのほか。そんな訳で、ここ数年は作れず仕舞いでしたが、今年は幾らか楽なので、重い腰を上げて3年振りに製作してみました。


 2007年7月完成分3本



東京湾フグ竿    丸節竹 + 孟宗竹手元 + グラス穂先 1.75m ワンピース(写真上・中)

オモリ負荷8〜20号、ワンピースのフグ竿です。東京湾のフグ釣り(食わせ・カットウ)をターゲットに微妙なアタリも取り易い様、穂先はヘチ竿用のグラス穂先を若干切り詰めて調子を出し、胴は節間が詰まって軽量、強靭、上質な丸節竹を使用。手元は希少な孟宗竹の根掘りです。切り組の関係で、若干グラス穂先の長さや手元の長さは異なりますが、2本ともほぼ同じ調子に仕上げてあります。口塗りは高度な技術を要する赤の蝋色仕立て、ご経験のある方はなぜこの塗りが難しいか分かって頂けると思いますが、研ぎ出し塗りや黒の蝋色仕立てより数段難しいです。握りは綿糸巻きを生漆で固める製法、汐よしさん風に一部に籐をあしらいお洒落?に仕上げてみました。籐に漆を塗ってしまうと台無しなので、籐の部分だけは生正味で拭き漆にしています。リールシートはともにチタン製、ガイドは両足のLNSGはともにチタンフレームですが、穂先のLDBSGは上の竿はチタン、中の竿はクロームを使用しました。2本とも自分用ですが、釣り仲間からご要望があれば1本はお譲りしてもいいかなと思って作りました。(・・・と書いたら、思いのほか反響が多く、受付は早々に終了致しました。笑)

シロギス竿    丸節竹 + 孟宗竹手元 + グラス穂先 1.7m ワンピース(写真下)

オモリ負荷8〜12号(金田湾仕様)、ワンピースのシロギス竿で、某名人からご依頼頂いて製作したものです。毎年、6月の第一水曜日に開催される『和竿でシロギスを釣る会』は、時期的には最盛期の一歩手前のせいなのか、無条件にバリバリ食うほど活性が上がりきらない日が多いらしい。浅場で細かい魚のアタリを弾かないよう、オモリ負荷は東京湾標準の15号よりも軽め、穂持ちの細い7:3調子、全長1.7m、リールの位置は竿尻から18cmとのご依頼内容でした。塗りなどの仕様は上記のフグ竿と同じです。腰痛のため、この機会を逃すと来期までに確実に作れる保障も無いので、先に着手していたフグ竿の工程は一時中断し、この竿を途中から集中作業して同期を取りました。リールシートはスピニングリール装着時にブレが少ないステンレス製、ガイドは手元からSVSG〜NSG、穂先はクロームのLDBSG4mmです。グラス穂先は慎重に調子を出し、一般的なシロギス竿に比べれば、かなり軟らかい仕上がりになっています。ハゼやイイダコにも十分使えるのではないでしょうか。依頼人に気に入って頂けるか心配ですが、次回の大会で最強の武器になることを祈っています。


フグ竿の素材となる穂先と竹が決まりました。/呂色漆で下塗り中です。


赤漆の蝋色仕立てができました。/ふくりんや芽打ちも施し完成間近です。

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