S大さんの「サバは死して逆襲に転じる − 実録、仁義なきサバ地獄」

4月9日(日)、LT根魚五目で城ヶ島沖へ出陣しました。

■AM6:30 出船
10:00頃に釣れ始めた真鯖君。
銀色に光る魚体を見て、思わず「旨そう!」とよだれが・・・今思えば、そのサバは釣り上げた私をじっと見つめていた(気がする)。
その場でエラを切り、血抜きをするために海水を汲み上げ、バケツにポイ!途中2度ほどバケツの水を交換しました。

■PM1:30 納竿
本日終了の合図で、バケツの中から取り出しコンビニの袋に入れ、氷の入ったクーラーにしまって帰宅しました。

帰宅後、袋に入れたまま冷蔵庫で3時間ほど保管。
大小2尾を3枚におろし、粗塩をたっぷり塗して冷蔵庫で25分締める。
塩を生酢で洗い流し、キッチンペーパーに包み冷蔵庫へ。
この日は、疲れていたのでそのまま就寝。

【4月10日(月)】
■PM9:00
夕食時、でっかい方のしめ鯖を切り身にして表面を軽くガスバーナーを当てる。皮ぎしの油が溶け軽い焦げ目が香ばしい「あぶり」に、ワサビ醤油で食べました。塩でしめる時間を少なくしたので、塩分控えめ、油ものって最高♪

【4月11日(火)】
■PM10:00
残った小さい方のしめ鯖を、同じく「あぶり」にして半身全てを一人で食べました。
今夜も旨いぞ!大満足だあ♪

■PM11:00
消灯〜快眠。。。。。。。。。。

【4月12日(水)】
■AM3:00
妙な息苦しさと不快感に襲われ、突然目が覚める。
なにかが胸につまり、飲み込めないような息苦しさです。
なんだ〜・・・起きあがると耳がジンジンと熱い!
体温がどんどん上昇してくるのがわかる。
顔が火照る!喉も苦しくなってきた。

■AM3:10
部屋の中が霞んで見えるのは眼鏡が無いからかな?
あれ、眼鏡をかけても視界は良くならないぞ。
へんだなあ〜。耳の中がかゆいなあ!ジン!ジン!ジン!
耳たぶが熱いなあ!ドンドンかゆくなる!
耳の穴が腫れてきた。小指が全く入らないほど狭くなってきた。

へんだなあ〜。上半身が異常に火照ってきた。
これはサバだ!きっとそうだ!それにしては、湿疹が出てこない。
むむむ。。。。

■AM3:20
へんだな!息苦しさがドンドンひどくなってきたぞ。
便意を感じてきた・・・トイレに行こう。

やばい!足下がふらつく、目が良く見えない。

やっとの思いで便器に座り込む。
全身が焼けるように熱い!汗がドバッ!洪水のように吹き出してきた。
顔面を汗が滝のように流れる。トイレットペーパーで汗を拭こうとした。
目が霞み、指先が痙攣しているのか?トイレットペーパーの切れ目が判らない!
普通ならイライラするはず、そんな気力もない・・・。

■AM3:40
やばい!更に喉に圧迫感が・・・息ができなくなってきた。
口の中も腫れてきた。

やばい!救急車を呼ぼうか!
それとも救急病院に電話して応急処置を聞こうか!
でも、電話機までたどり着く気力が無い。

やばい!意識がもうろうとしてきた。
酸素をもっと吸わなくては、このままでは窒息してしまう!
妊婦が行うラマーズ呼吸法のように小刻みに、すう、すう、ハー!ハー!
すう、ハー! すう、ハー! すう、ハー! すう、ハー!・・・


■AM4:00
少し楽になってきた。でも今度は吐き気が・・・3回ほど嘔吐を繰り返す。

そうだ食塩水を飲んで、胃を洗浄しよう。
フラフラと洗面台までたどり着き、うがいをして食塩水を飲む。
ところが、喉が狭くなっているのか、なかなか喉を通らない。
なんでだ?鏡を見ると、げげげげげ〜そこに映ったのは私の顔では無い!
土左衛門ようにパンパンに腫れ上がり、唇はどす黒いタラコのように変色し2倍に膨れている。
口もとが歪んでヨダレが・・・これは誰?ひでえ顔だ〜!

■AM4:10
もう一度トイレに戻り便器を抱きかかえていたが、もう吐くモノがない。
ワン!クン、クン、愛犬ハルちゃんが心配そうに便器を覗き込むが、とてもカマってやれる状態では無い。
すう、ハー!すう、ハー!すう、ハー!・・・

■AM4:20
女房が異変に気づき、起きてきた。どうしたの???
サバの怨念だあ。。。。。
「なんで!釣りたてでしょ? 顔が腫れているわね。大丈夫なの?」
とは聞いたが、救急車を呼ぼうとは言わない。冷たい女房だな・・・。
「これ飲んだら?」と風邪薬飲み残しの抗生物質とカプセルと赤玉(置き薬)を出す。
優しいのかな・・・。
喉が腫れて、なかなか飲み込めないが、なんとか水で流し込む・・・。

■AM4:30
気道が少し開いてきたのか?呼吸はちょっと楽になってきた。
布団に入り横になると、今度は下半身にかゆみが・・・腰回りや太ももに、水疱上の大きな湿疹(凸凹)が多発している感じ・・・それほどかゆい訳じゃないから大丈夫だろう。
息はできるから・・・・Zzzzzzz 知らないうちに寝てしまった。

■AM7:30
起きた。三途の川は渡らなかったようだ。
全身を見回しても湿疹は無い!顔はまだ、ちょっとむくんでいるが、熱は無し。
今日は休めないし、熱もないのでそのまま出勤。

■PM15:00
掛かり付けの病院に行く。

先生談・・・それは、サバでしょうね。強いアレルギー反応が出たのかもしれません。
救急車を呼ぶ状態だったと思いますよ。死ななくて良かったですね〜。
喘息の発作と同じで、気道が腫れて呼吸困難に陥り、死に至るケースもありますから!
重症の場合、サバアレルギー体質になる事があります。
一生サバが食べられなくなるかもしれませんよ。

私にとっては、生まれて初めて生死をさまよう経験でした。
もしかしたら、♪脂の乗ったトロのシメサバ♪ が食べられなくなるかも。(涙!)
サバ好きな私にとって、先生の一言はとてもショックでした。
その日血液を採取してアレルギー検査を行う事にして病院を出ました。

いやあ・・・ほんとうに参りました。鯖って、旨いけど本当は恐〜い魚なんですね。
自家製のしめ鯖や刺身は何度となく食べてきましたが、こんな事は初めてです。
春先の気温は寒いようでも、晴天時のバケツに汲んだ水温がどんどん上昇し、鮮度がかなり落ちてしまったのだと思います。

【大反省】
1.サバは血抜き後、直ぐにクーラーの氷水に浸けること。
2.その日のうちに食べないしめ鯖は、塩〆・酢〆は正しく行い、一度冷凍すること。
3.サバの生き腐れは目で判断できませんから、生で食べる場合は慎重に!

★血液検査の結果と教育的指導
サバアレルギー反応を起こす抗体は発見できなかったので、「陰性」と判定されました。
よかった!!!またサバが食べられる。。。
「しかしながら、全てのサバの種類や生息地域、個体によって様々なケースが有り、今回陰性反応だとしても、安心できません。同じサバを食べたとしても、体調によってはアレルギーを引き起こす可能性もありますので、調理に至るまでの鮮度管理を重視し、保存期間にも十分注意してください」と指導頂きました。

★内科医が推奨する応急処置
サバのアレルギー反応が出た場合は、速やかに病院に駆け込む事。
民間知識や家庭療法での対処は絶対不可。対処法を誤ると生死に係わる場合があります。

今回、私が経験したアレルギー地獄を振り返ると、ヒスタミンによるアレルギー反応だったようです。このほかにもサバにはアニサキスという寄生虫が寄生している場合があり、これを食べてしまうと、体内でも生き続け、胃や腸に囓りついて腹部に激痛を伴うそうです。

【サバアレルギー調査レポート】
私が調べた資料ですが、「サバは足が早い」という事を調べる実験がありました。
築地の仲卸で仕入れた新鮮なマサバで魚の鮮度を測る値を測定したそうですが、わずか5時間で刺身で食べられない鮮度になってしまったそうです。

サバを食べてアレルギー反応を起こす場合は、サバにはヒシチジンという物質が大量に含まれていて、時間の経過と共に、ヒスタミン生成菌やモルガン菌の作用により魚肉タンパク質中の遊離ヒスチジン(アミノ酸の一種)から生成されたヒスタミンが食品中に異常に蓄積され、ヒスタミンに変化し、体内のタンパク質と反応して食中毒やアレルギーの原因となるそうです。

一度魚肉内でヒスタミンが増殖されると、熱に強く通常の加熱では分解されないため、加熱調理しても魚肉から毒素の元を取り除くことはできないそうです。加熱すれば安心とは言えませんので、特に注意が必要です。

ヒスタミン中毒の代表的な症状としては・・・
●摂食後30〜60分ぐらいで、顔面、とくに口の周りや耳たぶが紅潮し、頭痛、じんま疹、発熱、眠気などの症状が出ます。
●普通ならば6〜10時間で回復しますが、重症の場合には呼吸困難や意識不明になる場合もあると言われています。
●サバのタンパク質分解酵素の働きは魚界の中でもかなり強いので、家庭でサバの刺身を食べるのは、保存状態をしっかり行わないと無理なようです。

みなさんも、サバの調理には十分注意しましょう!

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