《沈黙》 |
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2014.7.5 |
耳をすます
ただ耳をすます
わたしのなかから
わたしに語りかけてくる
あらゆる声から
遠くはなれて
それらを生みだす
あらゆる思いから
遠くはなれて
なぜ黙してはいられないのだろう
何を守ろうとして
言葉をはなつのだろう
大きな声で
そして賛成と反対を往復しながら
ほんとうの言葉は
そんな声の中には
決して見つからないのに
沈黙のなかで
耳をすます
聴こえないものに
声が声になるまえの深みで
声になろうとしている声に
耳をすます
すると
わたしのなかで
わたしを
わたしを証しするものを
必死で守ろうとしているものが
姿をあらわしてくるのがわかる
その悲しみと叫びが
耳をすます
ただ耳をすます
すると
それらのはるかむこうで
静かに言葉をたたえ
守るべきだと思っていた
あらゆるものから遠くはなれた
わたしのもうひとつの顔があらわれる