《訪れ》 |
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2014.4.20 |
それは訪れてくる
まるで知らない者のように
そしてもうひとりのわたしのように
わたしの得たものは
かつてわたしのなくしてきたもの
得るためになくすという
数しれぬ悲しみとともに
わたしは新たなわたしへと導かれた
空のむこうに
星の世界に
わたしはあったのかもしれない
けれどそこはここにあって
そうしてそこに
あなたは訪れた
わたしはひとり
それともふたり
あなたはひとり
それともふたり
わたしはわたしから失踪し
あなたはあなたから失踪し
わたしはわたしでないわたしに出会い
あなたはあなたでないあなたに出会う
それは訪れてくる
ときには闇の使者のように
ときには恋人のささやきのように
ときには鳥の歌のように
わたしは指さす
彼方にある世界を
するとその指先は
あなたという不思議な愛に変わって
わたしのはるか後ろから
静かで熱い言葉となって訪れてくる