《ハルモニア》
2014.3.8


ハルモニアを探して
わたしはこうして旅しているのか
永遠を知るために
季節のめぐりを学ぶように

わたしという音
あなたという音
その間に張られた弦を鳴らして
わたしとあなたの距離を
祈りの歌に変える

昨日と明日
生と死
若さと老い
喜びと悲しみ
そんなふたつのあいだに
さまざまに張られた弦が奏でる
ハルモニアの響きを祈りにして

とりどりの音色のなかで
語られていく数知れぬ秘密の物語や
鳥たち花たちの歌やさやぎ

耳をすませば
世界がわたしになり
そしてあなたとともに永遠を旅する
ふたりハルモニアの弦となって

 

☆風遊戯 《ハルモニア》ノート

◎ハルモニアというのは、ハーモニー、調和。ハルモニア・ムンディとは世界の調和。

◎弦の比喩は、仏教で弛めすぎても張りすぎてもいけないという「中道」のイメージで、相反するように見えるものが、それにもかかわらず互いに調和の礎となってその音を奏でているということを意味しています。

◎ヘラクレイトスによれば、ロゴスとはつまり、相反するもの、対立するものの両立であって調和。「生と死、覚醒と睡眠、若年と老年は、おなじひとつのものとして私たちのうちに宿っている。このものが転じて、かのものとなり、かのものが転じて、このものとなるからである」。

◎わたしとあなたは、ある意味で、世界を構築している「うしろの正面」どうしなのだけれど、その両極が弦の両端となって、その間に弦が張られて、それが奏でられることで世界がめぐっているのだといえるように思います。

◎わたしたちは、両極の片一方にしがみつき、その対極にあるかのように見えているもう片方を拒むことで、ハルモニアの響きを奏でられなくなっているのかもしれません。