ルドルフ・シュタイナー

エソテリック講義の内容から
参加者の覚え書き

GA266

佐々木義之 訳

 


秘教講義 ハンブルグ2-11-1907


記録A

Logos:多くの人はロゴスについて、その言葉が5つの文字からなっているという程度のことしか知らない。これらの気高い存在、3つのロゴイについて人々が語っていることはしばしば素人の長話に過ぎない。人々は最初から最高のことがらを理解できると信じているが、3つのロゴイの世界をのぞき見るためには、その前提となる包括的な理解が必要である。ロゴイは、神智学的な文献の中では、世界における生命の織物のようなものとして語られることが多いが、そのような理解は、私たちが3つのロゴイの世界に近づきたいと思うのであればそれへと上昇すべき理解に比べて、全く不十分なものである。ロゴイが何を意味しているかについての何らかの理解へと至るために、ヨハネ福音書の冒頭部分を一度魂の前に置いてみよう。「はじめに言葉-ロゴス-があった、言葉は神とともにあった、そして、神は言葉であった。すべては彼によって成り、創られるものでそれなしに創られるものはない。」これを私たちの魂の中で鳴り響かせるとき、何か最高のものが打ち鳴らされていると推測することができる。
 私たちの地球の発展について語られてきたことを思い出してみると、それは別の惑星、すなわち古い月から発展してきたことが分かる。古い月上では、すべての存在が異なっており、月自体も私たちの今日の地球の状態とは異なっていた。すなわち、それは固まっておらず、水の状態であった。月状態の前は私たちの地球の前身である太陽そのものであり、さらにその前は土星の状態であった。したがって、私たちの地球は三つの状態を経てきたのである。では、今日の太陽は、私たちの地球に先立つ月状態や太陽状態などの惑星状態とどのような関係にあるのか?ひとつの発展が生じたのである。今日、恒星である太陽は以前には惑星であった。最高の力と存在たちがこの太陽という惑星から離れ、それほど発達していない者たちが月と歩みをともにし、それから地球上へとやって来た。彼らは地球上でその発達を遂げた。各惑星は恒星となる。私たちの地球は死せる物体ではなく、生き生きとした存在である。自然の3つの領域に体現される魂たち、人間の魂、そして、はるかに高い精神的な存在たちが私たちの地球と結びついている。
 ひとつの惑星が恒星へと発展するとき、これらの惑星上に体現する存在たちもまた高みへと上昇する。以前の太陽上における最高の力と存在たちが恒星としての太陽になるのである。私たちの地球が木星状態を通過したとき、そして、金星がすでにほとんど太陽となるとき、私たち人間存在も今日太陽上に居住する気高い存在たちと同様のものになっているだろう。そのとき、太陽はどうなっているだろうか?ひとつの太陽からひとつの黄道獣帯が形成される。ひとつの太陽がその成熟状態を達成するとき、私たちが黄道獣帯と呼ぶところの構造が形成されるのである。黄道獣帯もまた生成し、そして消滅する。黄道獣帯からは、太陽から働きかける存在たちよりも強力で崇高な存在たちが働きかける。今日、私たちの上に輝く太陽はいつか新しい黄道獣帯の恒星として光を投げかけるだろう。非常に高い発展段階にある創造的な存在たちがこれらの新しい黄道獣帯の精神的な存在、創造的な魂になるだろう。
 人間の発展に目をやれば、衰退する器官、その発展の最終段階にあるものに対して、別の器官、その発展の緒についたばかりのものが見られる。心臓と喉頭はそのような器官である。心臓は、未来においては、随意筋となるだろう。この発展は地球が惑星から太陽になるとき同時に起こる。そして、私たちの喉頭はどうだろうか?それは話し言葉を通して私たちの魂の思考を周囲に拡散させることができる。思考は最初、魂の中にあるが、言葉を発することを通して空気の振動へと変容する。つまり、人間の思考は運動として空気の中に体現するが、これは発展の始まりに過ぎない。現在、人間の生殖器官として機能しているものは衰退し、喉頭が新しい生殖器官となるだろう。今日の人間が話すことの中でその思考を空気の振動に体現しているように、将来的には、その新しい生殖器官である喉頭を通して、話しながら彼と同じものを産み出すだろう。彼から浸透する言葉をもって、喉頭は人間の子孫を創造的に話すことになるだろう。地球が惑星から恒星に、そして恒星から黄道獣帯になるときそれが生じることになる。そのとき、人間は世界の中に語りかけ、言葉は創造的になるだろう。私たちの世界もまたそのようにして生じた。地球がその発展の初期段階にあったとき、地球が土星になる以前からの世界を通過してきた存在たちが創造的な言葉を鳴り響かせたのである。「初めに言葉があった」というのは全く文字通りに受け取らなければならない。発展の最終段階においては、人間自身が創造的なロゴスとなる。彼は言葉を通して創造する存在となる。彼は創造的なロゴスから生じ、そして、最終的には彼自身が創造的なロゴスになるのである。
 私たちは私たちが三位一体と名づける三つのロゴイについて語るが、創造的な言葉こそが第3のロゴスなのである。それは言葉を通して創造的になった存在たちが世界に響き渡らせる世界の音である。より高く、より高貴な力があるが、それは創造的な光である。いつか人間もまた光を放つ存在になるだろう。熱はさらに高次の段階に引き上げられて光となる。(すべての熱は犠牲である!)遠い将来、人間は単なる音ではなく、光であるところの明るく輝く存在へと上昇しているだろう。私たちの世界にとっては第2のロゴスとして創造的であるところのあの高貴な存在、それが創造的な光である。最高の顕現として空間を貫くもの、それが世界の芳香であり、世界の音や世界の光よりもさらに高い創造原理である。
(原注)ここには恐らく混乱が見られる。創造的な言葉は通常は第2のロゴスとして言及される:この時間の別の記録参照。
 世界の音は第3のロゴス、世界の光は第2のロゴス、世界の芳香は第1のロゴスであり、最高のものである。最高の造物主がその逆のものへと変容するとき、破壊する者となる。そこには世界の芳香の反対のものがあるので、悪魔についての民間伝承に悪臭の話しがあれば、そこでは世界の破壊者が暗示されていることを示している。
 絶えず人間から残っていくもの、人間の中の永遠なるものとしてあらゆる発展を通過していくものは神秘学においては人間の個人的な精神的芳香と呼ばれる。
世界の音    世界の光      世界の芳香
耳-聞く     目-顔       鼻-匂い
物理的に    エーテル的に   アストラル的に
土星       太陽         月
     感覚       味覚

 

 

記録B

 私たちが聞いたことのいくつかを把握するように努めてみたい。もう一度読み返してみることによって、恐らく、経験したものについての残響がいつか再び生き生きとしたものになることだろう。
 シュタイナーは最初、どのように瞑想したらよいかについて、私たちに深く紹介しようとする。私たちは語ることをできるだけ図式的にイメージすべきである。言葉についてくどくど考えてはいけない。それでは私たちが既に知っていることを学ぶことができるだけである。そうではなく、言葉に向かい、それに沈潜すべきである。そうすれば、それは次第に私たちに何かを語るようになる。その訓練を通して、私たちは私たちよりも高い神的な存在たち、マイスターたち、私たちの年長の兄弟たち、つまり世界を貫く生命の流れが私たちに流れ込む可能性を準備することになる。これが訓練の目的である。

太陽よりも明るく・・・
回想:最初、訓練によって記憶が妨害される可能性がある。しかし、恐れてはならない。それは一時的なものに過ぎないのだから。そして、回想が可能となる。経験したものから学ぶこと、後悔なしに。厳密に言えば、悔むというのは一種のエゴイズム、虚栄心、自負心である。人は今の自分よりもずっと良ければよいのにと思うものである。回想の間は、この感情を完全に断ち切らなければならない。これらの継続的で意識的な訓練を通して、マイスターが私たちの中で働くために必要な器官を創り出す。私たちはひとつの地点を越えて、休息点へと至り、私たちが辿って来た道のりを眺めようとするとき、私たちはそれを二つの方法で行うことができる。目を閉じて、その途上で私たちに起こったことすべてを思い出すこと、そして、ふり返りながら回想することである。物理平面上ではそのようになっている。私たちは物理的なものを空間中では知っているが、時間の中では知らない。私たちが学ばなければならないのは、アーカーシャ年代記すなわち自然の記憶を読むということである。そこでは、私たちが行ってきたことすべてが無効となる。

3つのロゴイについて
 それらについての正しい理解へと至るためには、憶測ではなく、感覚的な表象を行わなければならない。第1のロゴスは世界の芳香、香りであり、地上の香りはそのかすかなイメージに過ぎない。そこに第2のロゴス、すなわち光(文字通りには「私は世界の光である」)が注ぎ込む。第3のロゴスは音、天空の音楽である。その音から既にどちらかというとひとつのアイデアを得ることができる。それは私たちが話すときに喉頭から出る音に関して、私たち自身が音、響きを有している、ということである。何千年もの昔、アトランティスにおいて、ツランの長老たちはそのように教えた。それぞれの音には意味があり、魔術的な力がある。Aは広く開いた包括的な響き、音、第3のロゴス。鈍い母音U、それについては何の理解もまだできていない、第2のロゴス。そして、子音M、発音することができない、世界の芳香、第3のロゴス。