13世紀プロヴァンスの詩人・音楽家
最後のトルバドゥールの一人《ギラウト・リキエル》

2013.6.1

「Humils, forfaitz, repres e penedens」
「Aissi com es sobronrada - Brigitte Lesne & Pierre Hamon」

これまでバロックからルネッサンスへ、そしてその前のアルス・ノーヴァなどの音楽をご紹介してきました。今回は、それをさらにさかのぼって、中世のトルバドゥールの音楽をご紹介することにします。この時代の音楽を再現したものを聴いていると、東洋やイスラムといったイメージに近い感じを受けますが、西洋の音楽とされているものの根っこがどこにあるのかを垣間見る感じもしてとても興味深く聴けたりもします。

トルバドゥールというのは、中世のオック語抒情詩の詩人、作曲家、歌手のこと。トルバドゥールたちは、リムーザン、ギュイエンヌ、プロヴァンス、さらに、カタルーニャ、アラゴン王国、ガリシア、イタリアなどといった地域で活躍していました。トルバドゥールというのは男性で、女性はトロバイリッツと呼ばれていました。

トルバドゥールは、12世紀後半になると北フランスのトルヴェール(trouvères)へ、そしてドイツ側ではミンネザングを歌うミンネゼンガーとして広がっていきました。
彼らの詩の多くは、騎士道と宮廷の愛をテーマにしたもので、結婚した恋人を想う真実の愛の歌が特に有名です。しかし、こうした中世の叙情歌も騎士階級の没落とともに衰退することになりました。

ということで、今日の音楽は、13世紀プロヴァンスの詩人・音楽家。最後のトルバドゥールの一人といわれる、ギラウト・リキエル(Guiraut Riquier, 1294年没)またはギロー・リキエ(Guiraut Riquier)。
ナルボンヌ子爵の賢者アルマリックや賢王アルフォンソ10世に仕えた。ロデ伯アンリ2世にも仕えたと言われる。作品を自ら書き記し残していることから、現在までその音楽が伝えられています。

それでは、「Humils, forfaitz, repres e penedens」。
演奏は、Maria Lafitte, Michael Posch & Unicorn Ensemble。
http://www.youtube.com/watch?v=YV752SxU53Q

続いて、「Aissi com es sobronrada - Brigitte Lesne & Pierre Hamon」。
演奏は、Alla Francesca en trio。
http://www.youtube.com/watch?v=XZk5vSiZCeo