アイヌ音楽

2013.1.11

安東ウメ子「ウタリ オブンパレワ」
「バッタキ」(縄文鼓:土取利行、歌:安東ウメ子、トンコリ:オキ)
「Riwkakant/リウカカント」より「gif」

今日の音楽は、日本の南の沖縄音楽に対して、日本の北のアイヌ音楽を。
このところ、日本の古い地層になっているであろうものをひとつずつ見ていこうということで、
沖縄のことを見ていたのだけれど、アイヌを忘れるわけにはいかない。
アイヌの文化や言葉、そして音楽はほとんどなくなりかけている。
しかし、それをただの研究対象とするような姿勢ではなく、
少しでもこちらの魂に残るような学び方をしたいと思っている。
さて、ちょうど日本の古層のひとつでもある『古事記』を
梅原猛さんが現代語に訳したものが文庫になったので、目を通しているのだけれど、
そのなかで「アイヌ語は日本の祖語ともいってもいい」という考えを表明している。
そして、「思い切ってアイヌ語による解釈」を行って訳したということである。
たとえば、神とか氏にかかる「チハヤフル」という枕詞をアイヌ語の「チパ」から説明できるとしている。
チパというのは、アイヌがイナウ、つまり御幣を祭っているところだというのである。

そのように、日本について見ていくためには、表面をあれこれ見るのではなく、
その深い深い、「ち(血・地・霊)」となっているものを見ていきながら、少しでも魂に働かせてみたい。
そうすることで、表面のあれこれにとらわれないなにか本来のものが見えてくるかもしれないから。

アイヌの音楽に関してネットで視聴できるものは限られているのだけれど、そのなかからいくつかを。

まず、安東ウメ子の「ウタリ オブンパレワ」(アルバム『ウポポ サンケ』より)。
安東ウメ子(1932.11.20.‐ 2004.7.15)は、北海道帯広市フシココタン出身のアイヌの音楽家で、
ムックリ(口琴)とウポポ(歌)の名手として知られていた。
トンコリ奏者のOKIとCDアルバムなどを出している他に、アイヌ語講師やアイヌ文化の保存活動も行っていた。
「ウタリ オブンパレワ リムセレヤン」とはアイヌ語で、
「さあ みんな立ち上がって踊りましょう」という意味。

http://www.youtube.com/watch?v=ci0MWTiwb9c&list=PLFF1F74AB80C6417F

続いて、縄文鼓とアイヌ音楽のコラボによる「バッタキ」(縄文鼓:土取利行、歌:安東ウメ子、トンコリ:オキ)を。
トンコリという楽器は、カラフトアイヌが用いていた五弦琴(三弦や六弦の物もあるそうだ)。
2002年、香川県県民文化会館で催された「縄文鼓の世界/アイヌソングとの響宴」より
OKI(オキ/本名:加納 沖/1957-)は、日本のアイヌ民族出身のミュージシャン。
アサンカラ(旭川)アイヌの血を引く、カラフト・アイヌの伝統弦楽器「トンコリ」の奏者。
トンコリやアイヌの伝統歌「ウポポ」によるアイヌ伝統音楽を基調に、
ダブ、レゲエ、ロック、アフロ・ビートなどを取り入れた音楽を制作している。

http://www.youtube.com/watch?v=g0P3z6FlmzU

アイヌの歌い手「床絵美」と、写真・音楽にマルチに活動している
「海沼武史」のコラボレーション・アルバム「Riwkakant/リウカカント」より「gift」。
ちなみに、リウカとはアイヌ語で橋(riwka)、カントは宇宙(kant)。

http://www.youtube.com/watch?v=dMT_B916QLk

リウカカント(海沼武史)のブログ
http://riwkakant.blogspot.com/