「映画に耳を」をめぐる逍遙 07 

アキ・カウリスマキ『過去のない男』(2002)

 *この回からは、必ずしも小沼純一『映画に耳を』からではないセレクトです

第7回目は、タルコフルキーの『鏡』に続いて、「記憶」をテーマにした物語ということで、かなりテイストは違いますが、アキ・カウリスマキ監督の『過去のない男』。暴漢に襲われて記憶を失くしてしまった男のヘルシンキでの不思議な数日間を描いた映画。
カウリスマキの映画は、登場人物やその映像、そして音楽だけでカウリスマキだ!とのわかる独特なあったかみのある映画。フィンランド語はまったくわからないけれど、ふだんは聞き慣れない言葉の響きも楽しめる。
音楽担当は、レーヴィ・マデトーヤ。挿入歌としてクレイジーケンバンドの曲が使われていたりで、なんか好きに楽しくやっているなあという感じで大好きです。ここでご紹介するのは、主人公が、ロック・コンサートを企画したときに演奏される音楽。
ちなみに、過去がわかって主人公が地元に帰ると妻とは離婚がすでに成立していて、ヘルシンキで出会った運命の?女性イルマのもとへ帰って行く・・・という安易なエンディング。だけど、そういうあたりもカウリスマキ的で好きだったりします。帰りの汽車のなかっだかで、日本酒を飲むシーンとかあったかと思うんだけど、そういう日本びいきのベタなサーヴィス精神のある小道具なんかも笑えて好きです。

http://www.youtube.com/watch?v=fn7wsxGZltM

おまけで、このカウリスマキスタイルでつくられた宮崎あおいのでているCMがあって笑えるのでそれも。
宮崎あおい CM 「アースミュージック&エコロジー カフェにて篇」。

http://www.youtube.com/watch?v=JBzqzg1shlQ