「映画に耳を」をめぐる逍遙 03 

『永遠と一日』(1998)

3回目は、昨年亡くなったテオ・アンゲロプロス監督(1935年4月27日 - 2012年1月24日)の『永遠と一日』。
この『永遠と一日』は、アンゲロプロス監督の長編第11作目で、1998年のカンヌ映画祭でパルムドールを受賞した作品。主人公のアレクサンドリアという詩人・作家は、あの『ベルリン天使の詩』の堕天使役、ブルーノ・ガンツ。
音楽は、テオ・アンゲロプロスといえばこの人しかいないというエレニ・カラインドルー。カイランドルーは1983年制作の『シテール島への船出』以来、アンゲロプロス監督の映画音楽を担当しているが、どの映画にも欠かすことのできない印象的な音楽になっている。
ぼくもアンゲロプロス監督の映画を観はじめて以来、ずっとこのエレニ・カラインドルーの音楽がとても好きになって、まだ映画を観てもいないのに音楽のほうを先に聴いてみたりもしていたくらいだ。

以下、本書より。
「カラインドルーの音楽は、どことはなしに寂しさをたたえたワルツ《永遠のテーマ》と、「時」の持続を象徴するかのような弦楽のひびきでつくられる《時を聞く》の二つを主軸とし、映画全体を有機的につなげている。」
なお、カラインドルーはオリジナル盤のブックレットのなかでこんな文章を記しているそうだ。
「音楽が風のなかを漂った/誰かが触った、色とリズムに/記憶と夢に/郷愁と魂のささやきに/そしてこうしたものらをひとつの旅のなかにのみこませた/明日にむかって、光にむかって」

www.youtube.com/watch?v=jdP7yYNt90U