「映画に耳を」をめぐる逍遙 02 

『8 1/2』(1963)

2回目は、フェデリコ・フェリーニ監督の『8 1/2』。
音楽は、あのニーノ・ロータ。
ルネ・クレマン監督の『太陽がいっぱい』(1960)、フランコ・ゼフィレッリ監督の『ロミオとジュリエット』(1968)、フランシス・F・コッポラ監督の『ゴッドファーザー』(1972)でも有名。
最初に映画音楽にかかわったのは、1933年のラファエル・マタラッツォ監督の『人びとの汽車』という映画だったそうだが、その後そうした世界から遠ざかり、ミラノ大学芸術学科で文学と哲学を学ぶ。あらためて映画音楽にかかわるようになるのは1942年以降のことだという。ニーノ・ロータの本来の?仕事は、オペラやバレエなどの舞台作品や新古典主義的なスタイルでのクラシック系の作品で、本人は映画のための音楽は余技だったといっていたりもするので、やはりそれだけの豊かな才能を持っていたということなのだろう。ちょっとうらやましい。
さて、『8 1/2』。この映画での音づくりは、ニーノ・ロータのほかの有名な作品のイメージとは少し異なっている。背景になっている風の音などもふくめた音の環境のなかに絶妙に音楽が配されているところがある。映像と音とがある意味一体となっている感が強い。
フェリーニが記したニーノ・ロータの追悼文が紹介されているので、それを。
「彼と仕事をするのは真の喜びだった。ニーノの創造性が本当に身近に感じられて一種の陶酔状態が伝染し、まるで私が音楽を作っているかのような気持ちにさえなった。彼は私の映画の雰囲気や登場人物の色彩の中に完璧に入り込み、それらは彼の音楽の中に浸されていった。」
それでは、映画からのシーンが織り交ぜられた『8 1/2』のテーマ曲を。

http://www.youtube.com/watch?v=nWqC6kRCLjI

続いて、映画音楽というよりも、背景の音との絶妙な配し方がつたわってくるシーンを。風の音とか好きだし、バンド演奏とかあったり、なかなか。

http://www.youtube.com/watch?v=YHCIg4sQWIE