今谷和徳『ルネサンスの音楽家たち I・II』

2013.5.6



 

先日来、バロック音楽を遡って、
ルネサンス音楽を中心として中世の音楽も織り交ぜながらご紹介していますが、
中心となる音楽家としてご紹介していくガイドとしていたのが、主にこの本です。

◎今谷和徳『ルネサンスの音楽家たち I・II』
 (東京書籍 1993.10/1996.12)

この本は、ぼくがルネサンスの音楽を聴き始めたころ、参考にしていたもので、
このなかに紹介されている音楽家は、
今日ご紹介した中世音楽とルネサンス音楽をつなぐ存在ともいえるギョーム・デュファイを筆頭に、
順に、オケゲム、ジョスカン、イザーク、ジャヌカン、タリス、パレストリーナ、ラッスス、
バード、ビクトリア、ジェズアルド、ダウランドで、
今日でこの本に紹介されている音楽家はすべてご紹介したことになります。
とはいえ、これらの音楽家がすべてではなく、まだまだご紹介したいろんな作曲家がいますので、
しばらくはまだ続けたいと思っています。
また、この本のほかにも、以下のような資料を参照しながらご紹介しています。

◎金澤 正剛『中世音楽の精神史―グレゴリオ聖歌からルネサンス音楽へ』 (講談社選書メチエ 1998/03)

◎金澤 正剛『新版 古楽のすすめ』 (音楽之友社 オルフェ・ライブラリー 2010/6)

◎皆川達夫『中世・ルネサンスの音楽』 (講談社学術文庫 2009/2/11)

では、ルネサンス時代の音楽についてイメージを拡げるために、
その時代背景も含め、今谷和徳『ルネサンスの音楽家たち I』から少し。

   彼らが活躍したルネサンス時代には、「作曲家」を職業として、それだけで生活
  していた者はいなかった。そのほとんどは、君主の宮廷などに所属して、歌手ある
  いは楽器奏者として活躍しながら、宮廷の人々のために新しい音楽を作曲していっ
  たり、教会の聖歌隊のメンバーとして活動しながら、その典礼音楽を書いていった
  のである。さらに、中世から近代への過渡期であった15世紀には、その本来の職
  業がそうした音楽家ではなく、聖職者であったり、あるいは政治家としての立場に
  あったりした者も多かった。つまり、近代的な意味での「作曲家」という見方では、
  数多くの作曲を行った当時の音楽家の本来の姿をとらえることができないのである。
  そのことは、それ以前の中世の時代に活躍した音楽家たちに、よりはっきり言える
  ことでもある。