島崎今日子『安井かずみがいた時代』

2013.2.28

■島崎今日子『安井かずみがいた時代』(幻冬舎/2013.2.28)

「安井かずみ」という名前から浮かぶのは、作詞家と加藤和彦と結婚していたことくらい。
これを読みながら、安井かずみという人のことと同時に
その時代のことをあれこれ考えたりもさせられた。
65年「おしゃべりな真珠」(伊東ゆかり)で日本レコード大賞作詞賞を受賞するなどして、
超売れっ子の作詞家として活躍した安井の前半生とでもいえる、
「わたしの城下町」「危険なふたり」「よろしく哀愁」といった、名曲の数々を送り出した時代。
そして、77年に加藤和彦と結婚して理想のカップルとうたわれ、加藤和彦の曲にだけ詞をつけるようになり、
17年後、1994年に55歳(いまのぼくと同い年だ)で亡くなるまでの時代。
そしてそれぞれの時代背景。本書を読むと、安井かずみの人生が、
戦後からバブル崩壊までの日本と重ね合わされて見えてくるところもある。

1961年(最初は訳詞家として)から1994年といえば、ぼくが3歳から30歳代の半ばまでだから、
安井かずみの作詞活動のほとんどの時期のものを同時代的に聴く機会をもてたことになる。
加藤和彦のアルバムもよく聴いていたから、その時代の詞もよく知っている。
最初期のものから、晩年までぼくにとってその多くは思い出深いものだ。

これを読むまでほとんど知らなかったのが、最初期のころ、
アニメの主題歌や訳詞も有名なものがたくさんある。
アニメの主題歌では、『宇宙少年ソラン』。訳詞では、『ドナドナ』、『オー・シャンゼリゼ』、
『雪が降る』、『サマー・ホリデー』、『ヘイ・ポーラ』、『G.I.ブルース』、
『悲しきカンガルー』、『涙のラブレター』、『アイドルを探せ』、『リリー・マルレーン』など。

せっかくなので、「今日の音楽」のスペシャルヴァージョンということで、
安井かずみの訳詞、歌詞のものをいくつか紹介しておくことにしたい。

訳詞ものから、アダモ『雪が降るTombe la neige~日本語Version』1964
http://www.youtube.com/watch?v=iDXmmCmJ9p0

アニメ主題歌、宇宙少年ソラン
http://www.youtube.com/watch?v=jIjNZxAnDTA

伊東ゆかり『恋のしずく』(作曲:平尾昌晃)
http://www.youtube.com/watch?v=1RnSWKlVPDQ

小柳ルミ子『わたしの城下町』(作曲:平尾昌晃)1971
http://www.youtube.com/watch?v=yEKBcn-mpm4

沢田研二『危険なふたり』(作曲:加瀬邦彦)1973
http://www.youtube.com/watch?v=7RM6kYTYoyw

郷ひろみ『よろしく哀愁』(作曲:筒美京平)
http://www.youtube.com/watch?v=inRF_a5Rw10

吉田拓郎『金曜日の朝』(作曲:吉田拓郎)
http://www.youtube.com/watch?v=inAq0hhq7m8

加藤和彦『あの頃 マリー・ローランサン』(作曲:加藤和彦)1983
http://www.youtube.com/watch?v=3-SqZmVFeIE