島村幸一『おもろさうし』

2013.1.9

■島村幸一『おもろさうし』(コレクション日本歌人選056/笠間書院2012.6) 2013.1.9

沖縄の歴史や文化について、少しずつ見ていこうと思って、いろんな資料を見ているのだけれど、
そのなかで、沖縄、奄美諸島に伝わる古代歌謡を首里王府が
集成(22巻・1554首/実数1248首)した『おもろさうし』の歌謡について
実際にあたってみようと思い、
島村幸一『おもろさうし』(コレクション日本歌人選056/笠間書院2012.6)を読んでいる。

『おもろさうし』について、その岩波文庫版や『琉球古語辞典』などをつくっている
外間守善の『沖縄学への道』(岩波現代文庫)にがその成立について、
「オモロ」という言葉の意味もふくめ、次のようにある。

   『おもろさうし』は、首里王府が沖縄を中心にした島々村々に伝わる神歌のクェーナや
  ウムイなどを三回にわたって採録し、整理し、編集した時に、ウムイをオモロという名に
  呼び変えて『おもろさうし』という冊子にしたものである。
   大和では、室町期から江戸期にかけて冊子本を「草子」と称する風潮が盛んになってい
  たが、沖縄の知識人たちはそれに倣って神歌を集めて冊子にする必要に迫られた折、「さ
  うし」と名付け、沖縄的なウムイを大和的なオモロと呼び変え、『おもろさうし』とした
  ものである。ウムイとオモロは歌形が異なる。だから私は、『おもろさうし』に記録され
  た1554首(全22巻)の神歌だけをオモロと呼び、島々村々に古くから今日まで伝承されて
  いる神歌はウムイ、またはクェーナと呼んで区別している。

沖縄の歴史は、特に第二次大戦前後からは大変厳しいものがあるが、
それも含め、沖縄の霊性について見ていくためには、
こうした「霊的守護」を目的としてつくられた歌謡なども見ていく必要があるように思っている。
表面だけでは見えてこないものも、こうした歌謡などからかすかながらも
見えてくるものがあるのではないかと思っている。