穂村弘・山田 航『世界中が夕焼け: 穂村弘の短歌の秘密』

2012.10.9

『世界中が夕焼け: 穂村弘の短歌の秘密』(新潮社/2012.6.30発行)は、
短歌のニューウェーブ的存在である穂村 弘の短歌を新鋭の歌人・山田 航が
「解き明かし、穂村弘が応えて語る」というもの。

たとえばこんな短歌。
「「酔ってるの?あたしが誰かわかってる?」
「ブーフーウーのウーじゃないかな」」。

短歌とかは、そんなに読んでいるほうではないけれど、
言葉の新しい匂いがほしいときなどには、現代短歌というのはわりと効く。
ごくごく個人的なジャンル分けでいえば、
「うしろ姿のしぐれてゆくか」の種田山頭火や、
「咳をしても一人」の尾崎放哉、
「若さとはこんな淋しい春なのか」の住宅顕信のような
自由律の俳句とどちらかといえば近しい。

 この本の最後に引かれているこんな歌もなかなか。
「一九八〇年から今までが範囲の時間かくれんぼです」。
その前に引かれているこんな歌を受けているようです。
「いくたびか生まれ変わってあの夏のウェイトレスとして巡り逢う」